監修:八丁堀さとうクリニック副院長 佐藤 杏月 先生
妊娠初期に「チクチクする腹痛」を感じるママは多い
妊娠初期にチクチクする、ズキズキするような痛みを感じるママは多いようです。妊娠初期とは15週目までのことを指します。妊娠が発覚したばかりなので不安に感じる人もいますが、ほとんどの場合は心配いりません。個人差はあるものの、妊娠中期に入る頃にはおさまる傾向にあります。
ただし妊娠12週までは早期流産が起こりやすいため、いつもの腹痛かなと思っていても深刻な状態だったというケースも。心配しすぎはストレスを与えてしまいますが、いつもと違うサインを見逃さないようにすることが大切です。
妊娠初期にチクチクとした腹痛を感じる原因
妊娠初期に感じる痛みには、子宮がチクチクする、お腹の左右がキューっとするなど痛み方や場所が異なります。痛みが起こる原因や症状を紹介します。
子宮が大きくなることによって起こる痛み
子宮が大きくなる時に起こりやすく、下腹部がギューっとなる生理痛のような痛みを感じることがあります。これは赤ちゃんを育てるために、収縮を繰り返しながら子宮が大きくなるために起こる痛みです。
ただし子宮収縮は、切迫流産の可能性もあります。出血があったり、出血がなくても痛みがどんどん強くなったり、短時間で何度も痛みを繰り返したりする場合は、かかりつけの産婦人科を受診しましょう。
円靭帯が引きつることによる痛み
お腹の左右どちらかが引っ張られるような痛みを感じる場合もあります。この痛みは、赤ちゃんが大きくなるにつれて、子宮を左右から支える円靭帯(えんじんたい)が引き伸ばされることで起こります。出血がない時や、うずくまってしまうような激しい痛みではない場合は、安静にして様子を見ましょう。
便秘による痛み
チクチクした下腹部の痛みは、妊娠による便秘が原因です。妊娠初期はホルモンの一種であるプロゲステロンの影響で腸の働きが弱くなるため、便秘になりやすくなります。そのため普段からお通じの良いママは、下腹部が重くチクチクした痛みを感じるかもしれません。
出血がない、安静にしていると痛みが治るといった場合は様子を見ると良いでしょう。ただし便秘がひどい場合は、便秘薬を処方されることもあるため産婦人科医に相談するのがおすすめです。
下痢による痛み
下腹部からお尻のあたりに感じるキリキリとした痛みは下痢によるものです。妊娠初期は腸の働きが弱くなるうえ、つわりで食べられず、水分を多く摂りがちなため下痢になりやすくなります。発熱や吐き気を伴わない下痢の場合は、様子を見ても構いません。ただし下痢が長引く、つわりが酷く水分も取れないのに下痢が続く場合は、かかりつけの産婦人科を受診しましょう。
妊娠初期にチクチクとした腹痛が起こった時の対処法
妊娠初期にチクチクとした腹痛が起こった場合、安静にして経過観察をしましょう。ただし出血や我慢ができないほどの痛みなどの症状は必ず産婦人科を受診してください。
楽な姿勢や横になり安静にする
腹痛を感じた場合、椅子に座るか横になるなど、安静に過ごして様子を観察します。ただし痛みが治っても、すぐに動いてはいけません。また腹痛のあった日は体に負担のかかる作業を避け、ゆっくりと体を休めて過ごすようにしましょう。
体を冷やさない
体が冷えてしまうと痛みが強くなることがあるため、体を温めながら安静に過ごしましょう。妊娠するとホルモンバランスの変化や、体調不良によるストレスで冷え性になる人が多くなります。
温かい飲み物を飲む、靴下やレッグウォーマー、毛布などを使って首や足首、お腹や腰回りを冷やさないようにするのがおすすめ。腹痛を悪化させないためにも、体を温める作用のあるショウガや根菜類を取り入れた食事を摂ったり、毎日湯船につかったりするなど日頃から冷え対策をしましょう。
妊娠初期に注意したい腹痛の症状
妊娠初期に腹痛が起こった際、出血が伴ったり、冷や汗が出るほどの痛みだったりした場合は注意しなくてはいけません。以下のような痛みがある場合は、かかりつけの産婦人科医に相談しましょう。
我慢できないほどの痛み
痛みがだんだんと強くなる、寝ていても目が覚めるほど痛い、痛みで冷や汗が出るなどの場合はすぐに受診しましょう。進行流産や子宮外妊娠、絨毛膜下血種といった危険な症状が考えられます。
出血を伴う痛み
少量でも出血をした場合、痛みが弱くても産婦人科医に連絡をします。妊娠初期のママのうち、3割ほどは出血を感じたことがある、と言われています。茶色いおりものも少量の出血の可能性があるため、次の診察で伝えるか、続くようであれば電話で相談するようにしてください。
医師に相談する際、詳しく説明できるように以下のことをチェックしておくとスムーズです。
- いつから痛みが始まったのか
- どのくらい痛みが続くのか
- どこが痛いのか
- 痛みの程度
- 量や色、かたまりの有無など出血の状態
病院に着くまでに症状が悪化する可能性もあるため、家族の運転かタクシーを利用して体に負担がかからないようにしましょう。
妊娠初期に摂りたい栄養素&食事
妊娠初期にはつわりが始まるため、食事が取れないというママもいます。つわりの時期は食べられる時に栄養バランスを考えた食事を摂るようにしましょう。最後に妊娠初期に摂りたい栄養素や食事について紹介します。
栄養素
タンパク質 | 血液や筋肉を作る栄養素 肉・魚類、大豆製品、卵、牛乳など
|
葉酸 | 赤ちゃんの正常な発育に必要な栄養素 緑黄色野菜や大豆製品、海藻類など
|
鉄 | 妊娠中の貧血を防ぎ、赤ちゃんの成長にも必要な栄養素 魚介類、大豆製品、緑黄色野菜など
|
カルシウム | ビタミンD:赤ちゃんの骨や歯を作る栄養素 乳製品、大豆製品、小魚類、海藻類など
|
食物繊維 | 妊娠中の便秘予防や改善に必要な栄養素 雑穀米、野菜類、果物類、キノコ類、海藻類など
|
手軽に乳酸菌がとれるコープのヨーグルトはこちら
良質なたんぱく質がとれるコープの小粒納豆はこちら
食事
妊娠初期は、つわりが始まる時期でもあります。無理に食べる必要はありませが、つわりがひどい時期は食べられる時に栄養バランスの良いものを摂るように心がけましょう。つわりで吐き気が強い時は、脂肪が少なく消化の良いものがおすすめ。野菜や白身魚、ささみ、食パン、おかゆ、うどんなどは消化が良く食べやすい食材です。
また便秘で辛い時は、積極的に水分や食物繊維を摂るようにしましょう。なお赤ちゃんはお腹の中で胎盤が完成するまで、ママから栄養を補給することはありません。
そのまま使えるコープのカットほうれん草はこちら
手軽に食べられるコープの白がゆはこちら
妊娠初期のチクチクする腹痛は安静にして乗り切ろう
妊娠初期にチクチクとした腹痛を経験するママは多く、不安に感じるかもしれません。子宮が大きくなるためや便秘・下痢などの一般的には心配のない痛みであることも多いですが、流産の兆候や妊娠の経過に影響する場合もあります。気になる時はかかりつけの産婦人科に連絡をして不安を伝えるようにしましょう。
宮城・福島のコープ宅配はこちら
日本医科大学武蔵小杉病院を中心に16年間産婦人科医として地域のハイリスク妊婦や、婦人科疾患の診療を行ってきた。
3人の子供の子育てと仕事の両立を目指し、整形外科医の主人とともに2020年八丁堀さとうクリニックを開業。
日本産婦人科学会専門医
医学博士
※本記事に関する監修医へのお問い合わせはお控えください