【産科医監修】双子を妊娠する確率は?双生児ならではのリスクや出産費用を解説
監修:まきレディスクリニック院長 風本真希 先生

監修:まきレディスクリニック院長 風本真希 先生

米国マサチューセッツ州ハバブソンカレッジ留学
近畿大学医学部 卒業
大阪市立大学医学部付属病院 勤務
ロイヤルベルクリニック不妊センター 勤務
パークサイド広尾レディスクリニック 院長

毎日数多くの妊婦さんの検診に立ち会い相談に乗っている。 患者さんのお話に真摯に耳を傾けることが信条。

※本記事に関する監修医へのお問い合わせはお控えください

双子妊娠の基礎知識

おくるみに包まれた双子の赤ちゃん
一般的に1つの受精卵につき1人の胎児が成長しますが、1つまたは2つの受精卵から2人の胎児が生まれるケースがあります。これを双胎(そうたい)妊娠と言い、双子と呼びます。双胎妊娠は受精卵の数によって区別され、膜性によっても違いがあります。まずは受精卵と膜性の基礎知識を見ていきましょう。

一卵性の双子(一卵性双生児)

双子には一卵性双生児と二卵性双生児があります。一卵性双生児とは、1つの受精卵が2つに分かれて双子が生まれること。何らかの理由で早い時期に分離しますが、元は1つの受精卵だったため、遺伝情報は同じです。そのため、性別や血液型が同じで容姿もそっくりで、性格もよく似ています。

二卵性の双子(二卵性双生児)

二卵性双生児とは、2つの受精卵から双子が生まれることです。一般的な排卵では、左右どちらかの卵巣から卵子が1個だけ排出されます。しかし、母親の体質や排卵誘発剤の使用などの原因によって左右どちらかの卵巣から2個、または両方から1個ずつの卵子が飛び出てきて同時に受精卵となり、二卵性双生児となります。
別々の受精卵のため、異なる遺伝情報を持っており、性別や血液型は同じとは限りません。また容姿も、歳の差があるきょうだい程度の似方となることが多いようです。

膜性の種類

双子妊娠の場合、膜性の種類も異なります。膜性とは絨毛膜や羊膜のことを差し、絨毛膜の数は胎盤の数、羊膜の数は胎児が成長する部屋の数です。この膜性には3パターンがあり、リスクや注意点も異なるため重要な情報になります。
二絨毛膜二羊膜双胎(DD双胎) 絨毛膜・羊膜いずれも2つずつ
一絨毛膜二羊膜双胎(MD双胎) 絨毛膜が1つで羊膜が2つ
一絨毛膜一羊膜双胎(MM双胎) 絨毛膜・羊膜いずれも1つずつ
原則的に二卵性双胎は、二絨毛膜二羊膜双胎です。一卵性双生児の場合、上記3つのすべての可能性があり、受精後に2つに分かれる時期の違いによって膜性が決まります。絨毛膜や羊膜の数が少ないほど、ハイリスクになるため、注意が必要です。

双子を妊娠する確率と判明時期

妊娠判定が出ている検査薬
双子を妊娠する確率はごくわずかで、不妊治療の有無でも変わってきます。ここでは双子を妊娠する確率と判明時期について解説します。

双子を妊娠する確率は1%

現在の日本で双子を妊娠する確率は1%で、100人に1人のママが双子を出産しています。不妊治療を選択するケースが増えており、排卵誘発剤や体外受精によって双子を妊娠する人が増加傾向にあります。
自然妊娠の場合、一卵性双胎になる確率は0.004%(1/250)です。二卵性双生児は0.05-0.004%(1/250-1/20)で、一卵性双生児の確率を上回ります。一卵性双生児では一絨毛膜二羊膜双胎が75%、二絨毛膜二羊膜双胎が25%、一絨毛膜一羊膜双胎は約1%。男女の確率は、男・男、女・女ともに約40%、男・女が約20%です。

双子だと判明する時期は膜性によって異なる

双子が判明する時期は、膜性が関係しています。二絨毛膜二羊膜双胎の場合、エコー検査で2つの胎嚢が確認できるため、妊娠5週目ごろから判明します。
一方、1つしか胎嚢がない一絨毛膜二羊膜双胎や一絨毛膜一羊毛膜双胎の場合、この時期だと単胎妊娠との違いがわかりません。妊娠6週目ごろから胎児の心拍が聞こえ始めるため、心拍音が1人分か2人分かによって双子が判明します。

妊娠検査薬では双子の妊娠は判定できない

ちなみに妊娠検査薬では、双子だと判別することはできません。妊娠検査薬は、妊娠することによって分泌されるホルモンのhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が尿中に検出されることで、妊娠判定をします。
双胎妊娠の場合、hCG分泌が多いので単胎よりも早めに検査薬が陽性になる可能性もありますが、生理開始予定日ごろ(妊娠4週)には単児でも判定が可能となっているため、それだけでは判別できないと言えます。

双子を妊娠した場合の症状とリスク

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双子を妊娠した場合、単児妊娠に比べるとマイナートラブルの症状が強かったり、リスクが起きやすかったりします。正しく理解し、適切な対応を行いましょう。

単児妊娠と変わらないが症状が強く出ることもある

双子を妊娠した場合、単児妊娠よりも症状が強く出ることがあります。ただし個人差があり、すべての人に重い症状が出るわけではありません。
◾️つわり
hCGが単胎妊娠より盛んに分泌されるのが影響していると考えられるため、長引いたり重くなったりする傾向がある
◾️お腹の張り
妊娠中期以降から、お腹の張りを感じるようになる。頻繁に張るのであれば、横になって休む、楽な姿勢をとる
◾️腰痛
2人の胎児を支えているので腰や背中に負担がかかり、痛みを感じる。骨盤ベルトを活用して正しい姿勢を心がけたり、妊婦に適したマッサージを試す
◾️仰臥位(ぎょうがい)低血圧症候群
大きくなったお腹の重みにより、あおむけに寝ると太い静脈(下大静脈)を圧迫することで血圧が下がってしまう。特に双子では症状が起こりやすい。横になる際は左側を下向きにすると対策できる

双子妊娠ならではのリスク

双子の場合、単児妊娠に比べると病気のリスクが高まります。ただし過度に心配する必要はなく、リスクに対して正しく理解し、早産や緊急手術に対応できる病院で検診や出産をすることが大切です。
◾️早産
妊娠22週以降かつ37週未満に出産すること。単児妊娠に比べると早い時期からお腹が大きくなることに加え、妊娠高血圧症候群のような病気を引き起こしやすいため、母体と双子の状態によっては人工早産をするケースもある
◾️胎児発育不全
胎児の体重増加が適正ではなく、標準より軽い。ただし双子は単胎よりも小さく生まれる傾向があり、体重が軽くても心拍や臓器、体の形成が順調に進んでいれば問題ない
◾️胎児先天異常
体の形や働きなどに異常がある状態。単胎では2~3%に対し、双胎では6~7%の確率で起こる。特に一絨毛膜双胎で多い
一羊膜・二羊膜の一絨毛膜双胎では、2人の胎児が1つの胎盤を分け合って共有してお互いに血液の行き来をするため、双胎間輸血症候群(そうたいかんゆけつしょうこうぐん)や、Selective IUGR (一児の胎児発育不全)が起きやすくなります。

双子を妊娠した場合の出産費用

毛布から出てる双子の足
双子の出産費用は、病院や妊娠中の経過、分娩方法、入院日数などによって異なりますが、60~80万円が一般的です。分娩や入院の費用は病院によって数十万円の差があるので、費用については事前に病院に問い合わせておきましょう。

双子の出産にかかる費用

単胎妊娠の出産費用は50~60万円ほどですが、双子の場合は2人分になるので60~80万円が相場です。その他に、つわりや切迫流産、切迫早産、管理入院によって追加費用がかかる可能性もあります。
また双子の場合、計画帝王切開で分娩するケースも多いため、手術費用もかかるでしょう。しかし管理入院や帝王切開では、医療保険がおりるケースも。病院によって費用は異なるため、必ず確認をすることが大切です。

利用できる制度

出産する場合、さまざまな制度を利用できます。
◾️出産育児一時金
健康保険に加入している場合、赤ちゃん1人につき42万円もらえます。そのため双子なら2倍の84万円支給されます。
直接支払制度を利用すれば、健康保険組合から医療機関に出産育児一時金を直接支払うことができるので、まとまった額を事前に用意する必要がありません。
◾️高度療養費制度
双胎妊娠の場合、妊娠中のトラブルが起きやすく入院期間が長くなりがちです。管理入院や帝王切開などは医療費が高額になりますが、高度療養費制度を申請すれば1ヵ月の医療費が一定額を超えた分が戻ってきます。ただし自己負担額は、所得により異なります。
自治体によっては家事代行サービスの無料助成や、タクシー利用料の半額、助成産後ヘルパーの派遣児補助などを行っているので、確認をしましょう。

双子妊娠中や産後に活用したい!コープの宅配

宅配サービスの男性と受け取る女性
コープには、なかなか外出が難しい妊娠中や産後でも自宅まで食材を届けてくれる宅配サービスがあります。宅配なら買い物の手間が省ける上、時短にもつながります。
また食材がセットになっているキットなら献立を考える手間もなく、栄養のあるご飯を食べられるでしょう。2人分の離乳食を助けてくれるアイテムもあります。安心安全な食材を使っているのも魅力です。

双子を妊娠したら正しい知識を持って出産に臨もう

白のお揃いの服を着た双子の赤ちゃん
確率は高くないものの、100人に1人が双子を妊娠しています。低い確率のなかで授かった赤ちゃんたちはきっとかわいいと感じることでしょう。マイナートラブルやリスクなどで不安になるかもしれませんが、正しい知識を持ってママの体調を一番に、楽しい妊娠生活を過ごしてくださいね。
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