【医師監修】妊活中のお酒はNG?お酒との付き合い方や夫婦で気を付けたいことも
監修:今村亜紗子先生

監修:今村亜紗子先生

帝京大学医学部卒業後、長崎大学産婦人科学教室入局。
長崎大学病院や佐世保市立佐世保総合病院、いまむらウィミンズクリニックなどでの研修、勤務を経て、2022.5月に乳腺外科の姉とT・Iクリニック長崎を開院。
日本産婦人科学会認定 産婦人科専門医、マンモグラフィ読影認定医。

妊活中のお酒の影響

赤ちゃんの超音波画像を見る女性
適量の飲酒であれば、妊活中でも妊娠率や赤ちゃんに影響する可能性は低いとされています。オーフス大学(デンマーク)の研究では、1週間に14杯(1日2杯)程度の飲酒による妊娠率への影響は確認されませんでした。1杯の量の目安はビールで330ml、ワインで120ml、ウイスキーなどの蒸留酒で20mlです。
一方、週に14杯以上の飲酒では、妊娠率が18%低下する結果となっています。妊娠を希望するのであれば、過度な飲酒は避けた方が良いでしょう。

妊活中のお酒との付き合い方

ワインを持った妊婦
適度な飲酒による妊娠率や、おなかの赤ちゃんへの影響は少ないですが、飲みすぎは禁物です。ストレスを溜めない上手なお酒との付き合い方を心がけましょう。

適量を守り、休肝日を作る

お酒を飲む場合は、1週間にグラス14杯以下の適量を守り、適度に休肝日を設けるようにしましょう。過度な飲酒は妊娠率を低下させることにつながります。
また、健康維持にはお酒を飲まない休肝日を作ることも大切です。休肝日は1週間に2日以上が望ましいとされています。どうしても飲まないといけない場面やリフレッシュしたい場合は、ノンアルコール飲料を利用するのもおすすめです。

空腹時や就寝前はお酒を飲まない

お酒を飲む時は空腹時や就寝前は避け、就寝3~4時間前までに飲むようにしましょう。空腹状態での飲酒は酔いが早く回り、内臓にも負担をかけます。食事やおつまみをバランスよく食べることも大切。食材に妊娠初期に特に必要とされる葉酸を多く含むほうれん草や、枝豆を使うのもおすすめです。
また、お酒を飲むと覚醒作用のあるアセトアルデヒドが発生するため、就寝前に飲むと目が覚めやすくなり、睡眠の質が落ちてしまいます。妊活には質の良い睡眠も大切なので、飲む時間にも配慮する必要があります。

妊娠の可能性がある場合や妊娠中は飲酒を控える

排卵期や妊娠の可能性がある場合、妊娠中は飲酒を控えましょう。妊娠中のお酒は胎児の形態異常や脳障害、早産、妊娠高血圧症候群といったリスクを高めることが報告されています。妊娠に気が付かずに飲酒してしまった場合でも、妊娠超初期の飲酒が必ずしも胎児に影響するわけではありません。ですが気が付いた時から禁酒することが大切です。

妊活中に避けたい飲み物

飲み物を断る女性
ここからは、妊活中に避けたい飲み物を紹介します。お酒だけが妊活に影響を与えるわけではありません。元気な赤ちゃんを迎えるために、カフェインや糖質を多く含む飲み物、体を冷やす飲み物に気を付けましょう。

①カフェインを多く含む飲み物

カフェインを多く含む飲み物には、コーヒー、紅茶、玉露、煎茶、ウーロン茶、エナジードリンクなどがあります。
カフェインには中枢神経を刺激する働きがあるため、飲みすぎると不眠症や下痢、吐き気といった症状が出る可能性が。また、英国食品基準庁(FSA)はカフェインの過剰摂取は低体重児につながる可能性を指摘し、妊婦の1日のカフェイン摂取量を200mgまでに制限しています。さらにカフェインには体を冷やす働きもあります。妊活中は体を温めることが大切なので、その点にも注意しましょう。

②糖質を多く含む飲み物

市販のジュースには糖質が多く含まれているので、控えるようにしましょう。糖質を摂りすぎると肥満の原因になります。肥満による糖質代謝異常は、排卵をしにくくする可能性があるため妊活に影響が出ます。
野菜ジュースやフルーツジュースは手軽に栄養補給でき、体に良いイメージがありますが、飲みやすくするために糖分を多く含んでいます。飲みすぎには注意しましょう。

➂体を冷やす飲み物

冷たい飲み物や体を冷やす働きのある飲み物は、避けるようにしましょう。体の冷えは生理不順を引き起こす原因となることも。体が冷えると血液循環が悪くなり、代謝や免疫力を低下させるため、妊娠するための重要な働きをする子宮や卵巣の働きも低下させてしまいます。
麦茶やカフェインを多く含む飲み物は体を冷やす働きがあるので、飲みすぎには注意しましょう。

妊活中におすすめの飲み物

ルイボスティーの入ったポットとカップ
妊活中におすすめの飲み物を紹介します。体を温める飲み物や、葉酸を含んだ飲み物は妊活のサポートになるでしょう。

①体を温める飲み物

妊活中には体を温め、ミネラルや鉄分など女性に必要な成分が豊富に含まれているハーブティーがおすすめです。ハーブティーは種類によって、リラックス効果や安眠、むくみ解消、ホルモンバランスを整えるなど、期待できる効果が異なります。ハーブティーの中でもカフェインを含まず、ミネラルやナトリウムといった栄養素を多く含むルイボスティーは、クセが少なく飲みやすいので妊活中にもぴったりですよ。

②葉酸を含んだ飲み物

葉酸を多く含んだ飲み物も良いと言われています。葉酸はビタミンB群の一種で、赤ちゃんの成長に必要な栄養素です。厚生労働省では、妊活中には400µg摂取することを推奨しています。
葉酸はいちごやマンゴーなどに多く含まれている栄養素です。ほうれん草やパセリなどの野菜と一緒にジュースやスムージーにするのがおすすめ。大豆製品にも葉酸が含まれているため、きなこや豆乳なども良いでしょう。ただし、葉酸を含むものには、煎茶や抹茶などのカフェインを多く含むものもあるので注意が必要です。

妊活中のお酒にまつわる疑問

お酒を断る男性
最後に、男性の飲酒の影響や、断りにくいお酒の誘いなど妊活中のお酒にまつわる疑問を紹介します。

男性の飲酒も影響する?

男性がアルコールを摂取しても、妊娠のしやすさに大きな影響はないといわれています。デンマークとアメリカで行われた妊活中のカップルを対象にした「アルコールと妊娠の関係」についての調査結果では、飲酒の習慣がある男性と全くアルコールを摂取しない男性では妊娠しやすさに差は見られませんでした。
ただし、アルコールを過剰摂取した場合の影響は明らかになっていません。妊活に限らず、過度な飲酒は健康被害につながるため、適量を心がけるのが良いでしょう。男性側に影響がなくても、奥さんの前でお酒を飲む回数を減らすよう心がけましょう。たまには、2人ともノンアルコールで晩酌をするのもおすすめです。

お酒の誘いをどうやって断ればいい?

職場によって妊活中だと言いにくい場合は、「体調が悪いので」と断るのが無難です。また、お酒や飲み会の雰囲気が苦手だとそれとなく伝えておけば、その後、誘われる機会も減って角が立たないでしょう。もし同僚や先輩後輩などに信頼できる人がいれば、話しておくのも1つの方法。妊活は当事者の努力だけではなく、周りの協力も大切です。

妊活中のお酒は適量を守って上手に付き合おう

ベビーシューズを持つカップル
妊活中でも適量のお酒なら問題はありません。無理に禁酒することがストレスになり、逆に妊娠しにくくなる可能性もあります。ですが、お酒への耐性は人それぞれです。気になる場合はかかりつけの医師に相談するのがおすすめです。適量を守って上手にお酒と付き合い、前向きに妊活を続けましょう。
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