【皮膚科医監修】妊娠線の予防はどうしたらいい?ケア方法と効果的なマッサージを紹介
監修:吉岡容子先生

監修:吉岡容子先生

東京医科大学卒業、麻酔科学講座入局。 麻酔科退局後、 皮膚科・美容皮膚科を経て、平成24年より医療法人容紘会 高梨医院皮膚科・ 美容皮膚科を開設。
院長として現在も勤務。 日本レーザー医学会、日本抗加齢医学会、日本美容皮膚科学会など数多くの学会に所属する。

※本記事に関する監修医へのお問い合わせはお控えください

妊娠線とは?できやすい時期や部位をチェック

虫眼鏡で写したお腹の妊娠線
妊娠中にお腹などに現れる赤紫色の線を、一般的に妊娠線と呼んでいます。まずは妊娠線の特徴や原因、できやすい時期と部位をチェックしておきましょう。

妊娠中の体型変化にともない体に現れる線のこと

妊娠線とは、妊娠中に生じる急激な体型の変化により、体に現れる赤紫色の線のこと。正式名称は線状皮膚萎縮症、もしくは皮膚伸展線条と言い、一般的には肉割れとも呼ばれます。
でき始めの頃は赤紫色やピンク色をしていますが、次第に黒ずんでいきます。産後になると白っぽくなり、目立たなくなるのが特徴です。一度できたら完全に消えることはないので、予防が大切です。

妊娠線ができる原因

皮膚は外側から表皮・真皮・皮下組織の3層でできています。赤ちゃんの成長にともないお腹が大きくなると一番外側の表皮はお腹に合わせて伸びていきますが、その下の真皮と皮下組織は伸びづらく、表皮の伸びに追いつけずに裂けてしまいます。それが妊娠線のできる原因です。
妊娠線ができても出血することはありませんが、裂けた部分から毛細血管が透けて赤紫色に見えます。また、皮膚の乾燥やバリア機能の低下によってかゆみを感じる人もいます。

妊娠線ができやすい時期と部位

妊娠線が最もできやすいのは妊娠後期頃ですが、早い人は妊娠中期から見られます。とくに食べづわりの場合、体重の増加が大きいので早めに現れる傾向にあります。早めにできることを考慮すると、ケアは妊娠初期から始めるのが理想です。
一番妊娠線ができやすい部位は、妊娠中に大きくなるお腹です。脂肪がつくところにできやすく、胸の周りや太もも、お尻、二の腕などに現れることもあります。

妊娠線ができるのを予防する方法

さまざまなスキンケアのボトル
妊娠線の予防は、保湿ケアと体重管理が基本です。それぞれのポイントを押さえておきましょう。

クリームやオイルなどで保湿ケアをする

皮膚が乾燥すると妊娠線ができやすくなるので、保湿は重要です。予防には保湿成分が入ったクリームやオイルを使用し、妊娠線ができやすい部位を中心にマッサージしながらスキンケアするのがおすすめです。妊娠線予防のためのクリームもあるので、使いやすいものを選びましょう。

適度な体重管理を行う

体重計に乗る妊婦
妊娠線の大きな原因となる急激な体重の増加を防ぐため、体重管理も大切です。過度な体重増加は妊娠線だけではなく、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などの深刻な症状につながるおそれもあるので注意しましょう。
一般的には、体重増加は妊娠前の+7~12kgまでに抑えるのが理想とされています。つわりがひどくなければバランスの良い食生活を心がけ、安定期に入って体調の良い日にはウォーキングやスイミングなどのマタニティ運動を無理のない範囲で取り入れてみましょう。

【部位別】妊娠線予防に効果的なマッサージ

お腹にクリームを塗る妊婦
保湿ケアを行う際は、同時にマッサージをするとより効果的。妊娠線ができやすいお腹・胸・お尻のマッサージ方法を紹介します。

お腹の妊娠線予防マッサージ

まずは妊娠線がとくにできやすいお腹のマッサージ方法です。
■マッサージのやり方
  1. 保湿用のクリームをお腹にたっぷりと塗る
  2. おへそを中心に円を描くように、時計回りにやさしくなでる
  3. 両腰に手をあて、おへその下辺りに向かって螺旋を描くように下から上にマッサージする
  4. お腹を下から上にやさしくなでる

胸周りの妊娠線予防マッサージ

次は、胸周りの妊娠線予防に効果的なマッサージ方法です。
■マッサージのやり方
  1. 手に保湿用のクリームをたっぷりとる
  2. 両方のバストの下に手をあて、乳房の形に沿って外側から内側に円を描くようにマッサージする
  3. バストの下から斜め上へ、胸を持ち上げるイメージで乳房の外側を通るようになでる
  4. 人差し指と中指で鎖骨を挟み、体の中心から外側に向かってやさしくなでる

お尻・太ももの妊娠線予防マッサージ

最後は、お尻から太ももにかけての妊娠線予防に役立つマッサージ方法です。
■マッサージのやり方
  1. 手に保湿用のクリームをたっぷりとる
  2. 腰の外側からお尻の下、お尻の中心の順番に包み込むように手をすべらせマッサージする
  3. 両手を太ももの外側に添え、足の付け根から膝上まで上下になでる
お腹が大きくなると足の付け根部分が見えづらくなりますが、ここも妊娠線ができやすいので丁寧にクリームを塗って予防しましょう。

妊娠線ができやすい人の特徴

お腹を出した妊婦
乾燥や体重増加の他、体型や妊娠の状況によっても妊娠線のできやすさは異なります。とくに妊娠線に注意が必要な人の特徴を紹介します。

乾燥肌の人

肌にうるおいがないと皮膚が伸びにくく、真皮が裂けやすくなります。そのためもともと乾燥肌の人は、より妊娠線ができやすい状態にあります。アトピーなどで慢性的に肌が乾燥気味の人、空気が乾燥する冬場などは、とくに念入りに保湿を行いましょう。

体重が急激に増えてしまった人

赤ちゃんの成長にともなった体重の増加は必要ですが、適正な範囲を超えての急な増加には要注意です。急激に体重が増えると体型の変化に真皮の伸びが追いつかず、妊娠線が生じやすくなります。体重の変化はゆるやかになるよう、できる限りコントロールしていきましょう。

小柄・痩せ型の人

小柄な人や痩せ型の人、骨盤が小さい人は、赤ちゃんの成長による影響が大きくお腹が膨らみやすい傾向にあります。妊娠前と比べて体型の変化が大きくなるため、妊娠線には注意が必要です。

経産婦・多胎妊娠の場合

初産の人と比べると、経産婦は皮膚が伸びやすくお腹が大きくなるスピードが速いと言われています。初産の頃に妊娠線ができなかったから大丈夫というわけではないため、注意しましょう。
また双子以上の多胎妊娠も、1人の場合に比べてお腹が大きくなることに加え、大きくなるスピードも速くなります。そのため、早めの予防がおすすめです。

高齢出産の場合

高齢出産に明確な定義はありませんが、医学的には30代半ば頃から妊娠に関するリスクが上がるとされています。一般的には35歳以上で出産することを高齢出産と言い、妊娠時の注意事項が増えます。
高齢出産だから妊娠線ができやすいというわけではありませんが、歳を重ねるにつれて肌の弾力が衰えていくので、20代と比べると妊娠線はできやすくなると考えられるでしょう。

妊娠線を予防するクリームの選び方

クリームを手にとる女性の手元
妊娠線予防クリームは、一般的なクリームに比べて妊娠中の肌に特化した成分が含まれていたり、妊婦にも使いやすい工夫がされていたりします。その中でも自分にぴったりのものを見つける選び方を紹介します。

保湿成分配合で低刺激のものを選ぶ

まずはしっかり肌にうるおいが与えられるよう、保湿成分が配合されているかチェックしましょう。保湿力に優れているとされる成分には、コラーゲンやヒアルロン酸、セラミド、グリセリンなどがあります。
加えて妊娠中は肌が敏感になっているため、刺激の強い成分が含まれていないかも確認を。例えば、着色料や石油系界面活性剤などが含まれているものは避けた方が無難です。

リラックスできる香りのものを選ぶ

妊娠線予防クリームの中には香りがついているものもあるので、好みの香りを選ぶことでリラックス効果が期待できます。どのような香りが合うかは人それぞれですが、つわり中には吐き気の起こりにくい柑橘系の香りが好まれる傾向にあります。反対に香りによって気持ち悪くなりやすい人は、無香料のものがおすすめです。
なお、妊娠線予防用ではなく一般的なクリームの場合、香りつけに植物の精油が用いられている場合があります。精油は赤ちゃんの成長や母体に良くない影響を与える可能性があるので、慎重に選びましょう。

使いやすいテクスチャーのものを選ぶ

妊娠線予防クリームは、さっぱりとしたみずみずしいテクスチャーのものから、こっくりとした少し硬さのあるものまでさまざま。ケアを続けるためには、自分に合った使い心地かを確かめることも大切です。とくに塗り広げるついでにマッサージも行う場合は、伸びやすいものを選びましょう。

妊娠線予防は早めのケアが大事

ベッドの上でお腹にクリームを塗る妊婦
妊婦の悩みの1つである妊娠線。1度できてしまうと消すことは難しいため、早めのケアが重要です。基本的な予防には、保湿ケアやマッサージなどがあります。ぜひ体調に合わせて取り入れてみましょう。
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