

監修:EASE女性のクリニック 院長 丸山真理子先生
妊活してもなかなか授からない…二人目不妊とは?

二人目不妊とは、一人目の子どもを自然妊娠で出産した後、二人目を希望して夫婦生活を続けているものの半年〜1年ほど妊娠しない状態を指します。二人目不妊は決して珍しいことではありません。2021年に厚生労働省が行った調査によると、二人目を希望しているにもかかわらず妊娠に至らない夫婦の割合は32%という結果で、三人に一人が二人目の妊娠に悩んでいることが分かります。
二人目不妊に陥る原因

二人目不妊の大きな原因と言われるのが加齢。他にも体の変化が影響している可能性もあります。二人目不妊の原因について解説します。
年齢に伴う老化
二人目不妊の原因としてまず挙げられるのが加齢です。年齢を重ねるにつれ卵子や精子が老化し、受精できなかったり、受精しても着床に至らなかったりするケースが増えてきます。
とくに昨今では晩婚化が進み、二人目を意識したタイミングで35歳を過ぎているという人は珍しくないでしょう。35歳以上では不妊の可能性や流産のリスクが格段に上がると言われているので、二人目不妊に悩む人は多いと考えられます。
帝王切開・胎盤剥離の影響
一人目を帝王切開で出産した場合、「帝王切開瘢痕症候群」という病気に陥るケースがあります。「帝王切開瘢痕症候群」とは、帝王切開の傷がうまく塞がらず子宮に血液や粘液が溜まってしまう症状のこと。溜まった粘液により受精卵の着床が妨げられてしまい不妊につながります。一人目出産時に胎盤剥離に時間がかかったような場合も、子宮内膜が薄くなっていて着床しにくくなることがあります。
ホルモンバランスの変化
ホルモンバランスが乱れることで不妊に陥るケースもあります。一人目を出産した後慣れない育児が始まり、体力的にも精神的にも疲労が溜まる人は多いもの。疲労が蓄積されると自律神経が乱れ、伴ってホルモンバランスも乱れやすくなります。
また一人目出産後、元の体型に戻そうと過度なダイエットを行うこともホルモンバランスが乱れる原因となるので要注意です。
性交渉の減少
一人目の育児や家事、仕事などに追われ、性交渉の回数が極端に減る夫婦は珍しくないようです。妊娠できる期間は排卵日の前後数日間となるため、その間セックスレスの状態だと妊娠できる確率は非常に低くなります。妊娠を希望しているなら、きちんと排卵日を予測してタイミングを合わせることが大事です。
二人目の妊活の進め方
妊活で重要なのが排卵日の把握と生活習慣の見直し、状況によっては受診も検討しましょう。二人目の妊活の基本的な進め方を紹介します。
1. 一人目を卒乳する
まだ一人目の授乳中であれば、卒乳を進めて生理の周期を整えましょう。授乳中はホルモンの作用により排卵が抑制され、周期的な排卵がないのが一般的です。また授乳により乳首が刺激を受けると、子宮が収縮すると言われています。
これらの要因から授乳中は生理が起きにくくなるので、妊娠しやすい環境を整えるには一人目の子の卒乳を検討しましょう。
2. 基礎体温を測り排卵日を把握する

一人目出産後に生理周期が戻っていれば、毎日基礎体温を測ることで排卵日を確認できます。排卵日を確認するには、毎朝、起床直後にベッドの上で体温を測り、記録に残していきます。低温期が続いて高温期に変わる分かれ目前後が排卵日です。最低でも1ヵ月、できれば3ヵ月以上続けると正確な予測に近づきます。
3. 生活習慣を改善する
栄養バランスの良い食事を心がけ、夫婦ともに健康な体作りを目指しましょう。とくに妊活中におすすめの栄養素は、卵巣機能や子宮内膜の状態を高めるビタミンD。きのこ類や魚、卵、チーズに多く含まれています。妊娠後には赤ちゃんの成長にも栄養が欠かせないので、継続的に行なっていく必要があります。
睡眠を十分にとって疲れをしっかり回復することや、適度な運動習慣を身につけてストレスを溜めない生活を意識することも大事です。冷え性の人は体を温めて体温を落とし過ぎないようにすると、体の不調が改善する場合もあります。
4. 産婦人科で検査を受ける

体の不調が改善しない、妊娠の兆候がみられないといった状態が続くようであれば、産婦人科を受診して今の体の状態をチェックしてもらいましょう。一人目の妊娠・出産時の検査で問題がなくても、数年経てば体は変わるものです。体の状態に合った妊活を行うには、医師の指導を受けることが第一。不妊によるプレッシャーやストレスで精神的に辛い時は、カウンセラーに相談してみるのも一つの方法です。
二人目の不妊治療はいつから行う?治療の流れと保険適用条件

不妊治療はなるべく早く行うと良いと言われています。条件を満たせば保険適用となるので、しっかりチェックしておきましょう。
不妊に悩んだら早めに受診を
二人目不妊の場合、治療開始のタイミングとしては原則一人目の授乳期間が終わってからになります。授乳中は排卵周期が不規則になること、排卵誘発剤などのホルモン剤が使用できないためです。
※授乳中でも排卵時期のチェックや服用できる薬で治療も可能です。医療機関によって治療方針は変わることがあります。
※授乳中でも排卵時期のチェックや服用できる薬で治療も可能です。医療機関によって治療方針は変わることがあります。
2人目妊娠は様々な理由で授かりにくくなっている場合があります。妊娠を希望していればいつでも医療機関に相談して問題ありません。とくに以下の条件に当てはまる人は早めの受診を意識しましょう。
- 35歳以上である
- 半年~1年以上妊娠を希望しているが授からない
- 一人目の妊娠にも時間がかかった
- 一人目を希望した際にも不妊治療を受けている
- 婦人科系の疾患をもっていると診断されたことがある
不妊治療の流れ
①検査
まずは不妊の原因を調べるための検査を行います。
- 血液検査
- ホルモン検査
- 感染症の検査
- 経膣超音波検査
②治療
検査結果や問診をもとに、患者にあった治療を行います。
治療法 | 内容 |
---|---|
タイミング法 | 排卵日と性交渉のタイミングを合わせる |
排卵誘発法 | 内服薬や注射によって卵巣を刺激し排卵を起こす |
人工授精 | 妊娠しやすい時期に精子を注射器で子宮内に送り込む |
体外受精 | 精子と卵子を採取し、受精・培養を行って作った受精卵を子宮内に移植する |
担当医と相談しながら、自分達に合った治療方法を検討しましょう。
不妊治療の保険適用条件
2022年4月から、不妊治療にも保険が適用されるようになりました。
条件 | 内容 |
対象となる治療法 | タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精など |
対象年齢 | 女性の場合、治療開始時に43歳未満 |
保険が適用される回数 | 40歳未満は1子ごとに胚移植6回まで、40〜43歳未満は1子ごとに胚移植3回まで |
ただし、タイミング法や人工授精は、年齢制限、回数制限はありません、要件を満たしていると窓口での負担が3割となります。
二人目の妊活は早めに行動を開始しよう

年齢や体の変化に伴って妊娠しにくくなる人は珍しくありません。二人目の妊活は、排卵日の把握や生活習慣の改善などできることから始めつつ、心配であれば夫婦揃って早めに医療機関を受診するのがおすすめです。夫婦で今後の妊活についてしっかりと話し合っていきましょう。
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日本女性財団フェムシップドクター
関西医科大学卒業、横浜市立大学産婦人科学講座・関連病院勤務を経て, 2019年EASE女性のクリニック開院
2022年 イーズファミリークリニック本八幡/イーズ病児・病後児保育室開設
2023年 第6回産前産後ケア・子育て支援学会実行委員長
2023年10月 骨盤底ケアサロンSalon de EASE GINZA開設
一般財団法人 日本女性財団フェムシップドクターとしても活動中
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