【パパも要チェック!】産褥期の時期別の過ごし方や注意点を産婦人科医が解説
監修:宮本 亜希子 先生

監修:宮本 亜希子 先生

・東京美容外科 婦人科医
・日本産婦人科学会 認定専門医
・日本女性心身医学会
・日本生殖医学会
・PILLクリニック新宿院長

2006年兵庫医科大学卒業。現在Pillクリニック新宿院長、分娩取扱クリニックでも勤務。専門は産婦人科全般で周産期、婦人科美容、アンチエイジングなど女性の悩みに寄り添う。性教育やHPVワクチンの普及、女性のQOLの向上にも尽力。3児の母でもあり、自身の経験を生かし、診療やメディア活動も行なっている。
また、音声アプリclubhouseやTwitterのスペース機能、東京美容外科YouTube等で「あっこ先生」としてNGのないトークで人気を集めている。

産褥期とは?

赤ちゃんにミルクをあげながら頭を抱える女性
産後約8週間くらいまでの間は、体が妊娠前の状態に戻り始める産褥期と呼ばれる期間で、ママの体にさまざまな変化が起こります。まずは、産褥期について解説します。

産褥期とは、産後に体が元の状態に戻る期間

産褥期(さんじょくき)とは、妊娠中に起こったさまざまな体の変化が、妊娠前の状態に戻っていく期間のこと。産褥は出産に使用する寝床を指す言葉で、文字通り産褥期は無理せず安静に過ごすことが必要です。

産後約6~8週間までを指す

多くの症状が見られるおおよそ産後6~8週間までが産褥期とされています。職場復帰を考えているママも、原則として産後8週間未満の就業は禁止されていて、企業にも産前産後休暇を取らせることが義務付けられています。産褥期はママの体調回復のための大切な時期と考え、パパもしっかりと理解してサポートするのが大事です。

【時期別】産褥期の過ごし方

赤ちゃんとベッドで眠る女性
産褥期は、段階を追って少しずつ元の生活に戻るようにしましょう。時期別の過ごし方を紹介します。

【出産〜産後2週間】できる限り安静に

自然分娩で5~6日ほど、帝王切開なら7~10日ほどの入院期間が設けられ、医師によって体調管理されますが、退院後も2週間ほどはママの体調回復が最優先です。
なるべく赤ちゃんのそばで横になって過ごし、授乳など最低限のお世話にとどめて体を休ませましょう。立ちくらみしやすいので、沐浴などその他の育児はパパや他の家族の積極的な参加が必要です。

【産後3~4週間】少しずつ身の回りのことをしてみる

産後3~4週間ほどになると、徐々に体が回復して簡単な家事ならできるようになります。こまめに休憩をとりながら、部屋の片づけや料理・洗濯などできそうなことから始めてみると良いかもしれません。
ただし「もう元気になったかも」と思っても、まだまだ無理は禁物。疲れを感じたらすぐに作業を中止しましょう。長時間の外出や立ち仕事など、体への負担が大きい行動はまだ控えた方が良いです。

【産後5~8週間】次第に元の生活へ

産後1ヵ月健診を終えると、体力が回復してきたと感じ始める人が多いです。しかし体が妊娠前の状態に戻るには、この先3ヵ月~1年もの長い期間が必要です。体調を考えながら少しずつ元の生活に戻すようにしましょう。まずは赤ちゃんのお世話を優先し、できる範囲で家事をしていくのがおすすめです。

産褥期に現れる症状とケアの方法

ベッドで腹痛に悩む女性
体が元の状態に戻ろうとするのに伴い、いくつかの辛い症状が現れる可能性があります。産褥期に現れることが多い症状とケアの方法を紹介します。

悪露(おろ)

悪露とは出産後に子宮から排出される分泌物のこと。出血や胎膜、胎盤組織などが混ざっており、生理のような出血が産後すぐから1ヵ月前後続きます。
生理用ナプキンで対処が難しい場合は、出産準備品として指定されている「産褥パッド」を利用するのがおすすめです。パッドやナプキンはこまめに取り替えて、なるべく外陰部を清潔に保ちましょう。また感染症を防ぐため、悪露が黄色になって少なくなるまで入浴はシャワーのみにとどめる必要があります。

子宮収縮の痛み

妊娠中に大きくなった子宮が、4週間ほどかけて元の大きさに戻っていくことを子宮復古(しきゅうふっこ)と言い、収縮する際に痛みを伴います。後陣痛とも呼ばれ、産後2~3日が特に強い痛みを感じやすいです。授乳によっても子宮収縮が促され、痛みが強まることがあります。
痛みは次第に治まっていくので心配いりませんが、あまりにも辛い時は医師へ相談すると良いでしょう。

外科処置の痛み

分娩の際に受けた会陰切開や帝王切開の傷は、産後数日痛む人が多いです。しばらく縫合した糸の引きつりによる違和感が残る場合もあります。
悪化しないように、まずは傷の周辺を清潔に保ちましょう。座った時に会陰切開の傷が痛む人は、ドーナツ状のクッションを使うと楽になります。

便秘・痔

出産後は悪露や授乳によって体内の水分量が減るので、便秘になりやすいです。便秘が悪化すると痔になることもあります。
こまめな水分補給や食物繊維・乳酸菌などの栄養素を積極的に摂り、便秘解消に努めましょう。

腰痛

腰痛に悩む女性
妊娠・出産による骨盤の開きや筋肉の衰え、育児中の無理な体勢による負担などで腰痛になる人もいます。分娩の際、赤ちゃんの頭を通すために骨盤が大きく開くことで、支える靭帯も通常より伸びているのでいつも以上の注意が必要です。
軽い腰痛であれば簡単なストレッチで改善する場合があります。骨盤ベルトを使用したり、なるべく正しい姿勢を心がけたりするようにしましょう。

マタニティブルー

妊娠中に多く分泌されていたホルモンが産後急激に減少し、メンタル面にも影響を及ぼします。特に産後2週間くらいまでは気分の落ち込みや不安を感じやすいです。涙が止まらなくなったり、いつもよりイライラしたりすることが増えるかもしれません。
自然に落ち着いていきますが、2週間を過ぎても改善しないようなら産後うつの可能性もあります。ひとりで抱え込まずに辛い時は医師に相談すると良いでしょう。

産褥期を乗り越えるポイント

なるべく安静に産褥期を過ごすには、周囲のサポートを受けたり家事の負担を減らせる工夫をしたりするのが大事です。産褥期を乗り越えるポイントを紹介します。

パパが積極的に育児参加する・家族のサポートを受ける

洗い物をする男性
パパが育児休暇で家にいられるようであれば、産褥期はパパメインで家事を回せるよう事前に話し合っておくと安心です。家事に慣れていないパパは、出産前から、「どこに何があるのか」、「この家電はどのように使うのか」などを確認し、家事を分担する習慣をつけておくのがおすすめ。
自分の親に来てもらったり、里帰りしたりする人も多いです。特に上の子がいる家庭は、親に保育園のお迎えを頼むだけでも随分助かります。

家事代行サービスや自治体の支援を利用する

家族から家事のフォローを受けるのが難しい場合は、家事代行サービスに依頼する手もあります。自治体によっては、産後の利用に補助金が出るところもあるので調べて損はありません。保健センターに相談してみるのも良いでしょう。
その他、ロボット掃除機や乾燥機能付洗濯機の利用を検討するなど、できるだけ家事の手間が省けるような対策を取っておくのがおすすめです。

宅配・宅食を活用する

食べ物の宅配サービス
疲れる外出をなるべく控えたい産褥期には、生協やスーパーの宅配サービス・お弁当の宅配などを利用してみましょう。産褥期に入り、体がしんどくなる前に、自分に合ったサービスや業者を探しておくと慌てません。
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産褥期の日常生活における注意点

産褥期には、日常生活上でいくつか気を付けたいことがあります。産褥期の注意点を紹介します。

産褥期は基本的にはシャワーのみ

シャワーヘッドを持つ人の手
産後すぐは子宮口が開いているため、産褥期の入浴は控えるべきとされています。産後1〜2日(帝王切開の場合は3〜4日後程度)からシャワーであれば可能です。湯船には、1ヵ月健診で医師の確認が取れてから浸かるようにしましょう。

ダイエットは焦らない

出産後すぐに体重は戻りませんが、2~4ヵ月かけて徐々に減っていきます。そのため産褥期は、体重を戻すことよりも、まずはゆっくり体を労ることを考えましょう。特に産後1ヵ月間は激しい運動は厳禁です。1ヵ月健診で問題ないと確認できてから、少しずつ体を動かし始めましょう。

アルコール・カフェインは控えて

授乳中にアルコールを飲むと、母乳を介して赤ちゃんがアルコールを摂取してしまう危険性があります。母乳育児中のママは、産褥期にかかわらず飲酒を控えるのが望ましいでしょう。同じようにカフェインの摂りすぎにも要注意。コーヒーだと1日2杯程度が目安です。

便利なサービスやパパのサポートで、産褥期を乗り切ろう

赤ちゃんを抱く夫婦
体にさまざまな症状が現れる産褥期。出産後は赤ちゃんのお世話で忙しく、ゆっくり休める時がないかもしれませんが、なるべく安静にし、ママの体の負担を減らすことが大切です。周囲のサポートや便利なサービスを利用し、産褥期を乗り越えましょう。
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