【医師監修】新生児のうんちがでないのは便秘なの?病院に行くべき症状は?
監修:竹中美恵子先生

監修:竹中美恵子先生

小児科・内科・皮膚科・アレルギー科
難病指定医/小児慢性特定疾患指定医/子どもの心相談医/高濃度ビタミンC点滴療法認定医/キレーション認定医
亡き祖父のあとを追い小児科医の道へ進む。小児科を受診する患者さんの約6割は皮膚疾患を合併しているという現実を目の当たりにし、小児科医としての臨床を積みながら皮膚科や内科を学び、家族全員を1つの病院で見られるワンストップの病院を目指して姉妹で開業する。子供の調子が悪い時は、家族全員が調子が悪い時、家族全員のかかりつけとしてとっていただけるように話しやすい環境、変化する医療をできるだけ早く取り入れ、日々研鑽している。

※本記事に関する監修者へのお問い合わせはお控えください

新生児のうんちがでないのはよくあること?

ソファの座って赤ちゃんを持ち上げる母親
新生児期にはうんちが数日でないことはよくあります。まだ消化器官が発達しておらず、うんちの形や排便のペースが安定していないことに加え、ふんばる筋力が弱いので便秘になりやすいと言われています。
しかし、うんちの回数には個人差があるため便秘の判断は難しいもの。1日に数回でる子もいれば、2〜3日に1回が通常という子もいます。基本的には、赤ちゃんの体調や機嫌に変わった様子がなければ問題ないでしょう。

【新生児〜乳児】赤ちゃんのうんちがでなくなりやすい時期

くまのぬいぐるみと眠る赤ちゃん
新生児〜乳児の間は、赤ちゃんが便秘になることは珍しくありません。時期別の赤ちゃんの状態や便秘になる理由を紹介します。

新生児期:便秘になりやすい

新生児期の赤ちゃんはほとんど寝転んで過ごしているので、運動不足から便秘になりやすい傾向があります。特に母乳よりミルクを飲む赤ちゃんの方が、便秘になりやすいと言われています。母乳には腸内の善玉菌(ビフィズス菌)を活性化させる乳糖が含まれていますが、ミルクは乳糖が少ない、もしくは含まれていないものが多いからです。

生後2ヵ月ごろ:一部便秘になる子も

新生児期が過ぎると、消化器官が発達してきてうんちを腸内にためておけるようになります。うんちが腸内にとどまってしまうとでにくくなり、便秘になる子もいます。

生後5~6ヵ月ごろ:離乳食開始で便秘気味に

生後5~6ヵ月ごろは離乳食を開始する時期です。固形物を食べることにより新生児期と比べるとうんちがかたくなりやすく、いきむ力が足りずに便秘がちになる子が増えます。これまで便秘になったことがない子も要注意です。

新生児のうんちがでない!便秘のチェックと受診が必要な症状

おむつ替えをする母親
赤ちゃんが最近うんちをせず、体調も悪そうな時は便秘と考えられるでしょう。便秘のチェックリストと、受診を検討すべき症状について紹介します。

便秘のチェックリスト

以下の項目に当てはまる場合は、赤ちゃんが便秘になっている可能性が高いです。
①ペースや形状が急に変わった
いつもより回数が少ない、うんちがかたくなったなど、急な変化が見られたら便秘が疑われます。なお、新生児期はうんちのペースが安定していないので、2〜3日でないくらいでは過剰に心配する必要はありません。
②母乳やミルクをあまり飲まない
腸に十分な水分が行き渡らないと便秘を引き起こしやすくなります。便秘が苦しくて食欲が減っている可能性もあります。
③いつもより機嫌が悪い
便秘で不快な状態が続くと、赤ちゃんの機嫌も悪くなりがちに。

受診が必要な症状

過剰な心配はいらないとは言え、以下のような症状がある場合は重度の便秘に陥っていたり、他の病気であったりする可能性があるため病院で相談することをおすすめします。
<要注意な症状>
  • 1週間以上うんちがでていない
  • 空腹時でもおなかがぱんぱんに張っている
  • うんちをだす時に真っ赤な顔でいきんで苦しそうにしている
  • うんちの時に出血が見られる
  • 体調がすぐれずぐったりしている
  • 熱や嘔吐がある
受診の際に医師に伝える内容として、以下のことをチェックしておきましょう。
<受診の時に医師に伝える項目>
  • うんちの回数や形
  • おならやゲップはでているか
  • 最近の機嫌や食欲
  • 最後にでた時のうんちの状態
最近のうんちの状態については、写真に撮っておくと説明がスムーズです。

新生児のうんちがでない時の改善策

赤ちゃんとスキンシップをする母親
赤ちゃんの生活リズムを整えつつ、便意を促すマッサージや刺激を加えると、赤ちゃんの便秘を解消しやすくなります。赤ちゃんが便秘の時に試したい改善策を紹介します。

赤ちゃんが寝やすい姿勢にしてあげる

赤ちゃんが「う〜ん」と唸り声をあげている時は、赤ちゃんが過ごしやすい姿勢に変えてあげて様子を見ましょう。もしかすると便秘ではなく、寝づらくて機嫌が悪いだけかもしれません。寝転んでいるとおなかがピンと張って落ち着かないこともあります。特に抱っこでは寝るのに、ベッドに寝かせると機嫌が悪くなるような場合は、可能性が高いです。
くるくると丸めたバスタオルの上に足を乗せる、もしくは横向きで背中を曲げるようにしてあげると、ママのおなかで過ごしていたころのような姿勢になるので寝やすくなります。ただし、横向きやうつ伏せは赤ちゃんの呼吸を妨げてしまうおそれがあるので、実施する際は目を離さないことが大事です。

ミルクは決まった時間に適量を与える

ミルクはなるべく決まった時間に適量を与え、生活リズムと体調を整えましょう。生活リズムが整うと、排便のペースも安定しやすくなります。また日々の授乳量を一定にすることで、便秘の原因となる水分不足を防げます。
赤ちゃんの体重がなかなか増えない場合は、授乳量が足りていないかもしれません。かかりつけ医に対策も含めて相談してください。反対に、粉ミルクを与え過ぎるとカルシウム過剰で便秘を引き起こすことがあるので、月齢に合った量を守ることが大切です。母乳の場合は、ほしがった分だけ与えても問題はありません。

水分不足を補う

汗をたくさんかいた時は、ミルクの他にも水分を与えて水分不足を防ぎましょう。新生児の便秘解消が目的なら、白湯にオリゴ糖を加えたものを与えるのがおすすめです。糖分が腸内で善玉菌を活性化させ、腸の働きを良くしてくれます。一度にたくさん飲ませると水中毒になるおそれがあるので、少量をこまめに与えます。

おなかのマッサージをする

運動不足の赤ちゃんには、おなかのマッサージを行うと便意を促せます。
<やり方①>
まずベビーローションなどで肌を保湿してあげてから、おへそを中心に大きく「の」の字を書くようにゆっくりと優しくさすります。行うタイミングは朝起きた時や沐浴の後などがおすすめです。
<やり方②>
赤ちゃんを仰向きに寝かせて両足を持ち、自転車をこぐように片足ずつゆっくりと動かす方法も効果的です。足を付け根からほぐすことで腸が刺激されます。
赤ちゃんの体はデリケートなので、マッサージする際は強く押したり無理に動かしたりはしないようにするのが注意点です。

綿棒を使って肛門を刺激する

うんちがでなくて苦しがっている、赤ちゃんの機嫌が悪い状態が続いている時は、綿棒を使って肛門を刺激する方法を試してみましょう。
<肛門浣腸のやり方>
  1. 綿棒にベビーオイルをつけ、肛門から1〜2cmほど差し入れる
  2. そのまま10秒ほど、ゆっくりと回すように綿棒を動かす
綿棒を入れすぎないように、あらかじめ先端から1〜2cmのところに印をつけておくのがおすすめです。綿棒を動かす際は、強い力でゴシゴシこすらないように注意してください。うんちが肛門から顔をだしたら、おしりふきで拭き取りながら軽く肛門を刺激します。でない場合は無理をせず中止し、しばらく時間を置きます。初めてでこわい人は、病院で助産師さんや医師に指導を受けてから実施すると安心です。

新生児の注意すべきうんちの色と状態

おむつをした赤ちゃん
赤ちゃんがしっかりうんちをしていても、うんちの色や状態によっては受診が必要となります。赤ちゃんのうんちがでたら日々チェックしてあげましょう。

受診が必要なうんちの色

離乳食が始まるまでは、胆汁の色が残ってうんちの色も鮮やかな黄色をしています。酸化すると緑色のうんちがでることもありますが、赤ちゃんの機嫌が良く食欲もあるようであれば心配はいらないでしょう。早めに受診が必要となる要注意なうんちの色を紹介します。
①赤(血便)
うんちに大量の血が混ざり赤くなっている場合は、細菌性腸炎などの可能性があります。
②白
うんちが白い場合は、胆汁をうまく排出できない状態に陥っている可能性があります。胆道閉鎖症や肝臓の炎症が疑われます。
③黒
黒いうんちがでる時は、胃などの消化管の入口付近での出血が疑われます。血が酸化して赤黒くなっている可能性もあります。

要注意なうんちの状態

新生児に見られることの多い注意が必要なうんちの状態が以下の2つです。
①顆粒便(かりゅうべん)
母乳やミルクをたくさん飲むようになると、うんちの中に白いツブツブが混ざることがあります。ツブツブの正体は、母乳やミルクに含まれる脂肪が腸の中でカルシウムなどと結合して固まったもの。正常なうんちにも見られますが、消化不良を起こしている可能性もあるので続くようなら受診することをおすすめします。
②下痢便
新生児期の赤ちゃんのうんちはもともとゆるめですが、いつもの倍以上に水っぽいうんちを繰り返しているなら下痢と考えられます。悪臭がある、血が混ざっている、発熱・嘔吐がある、赤ちゃんの体調が悪いなど、異変を伴う場合は早めの受診が必要です。

新生児のうんちがでない時は注意深く見守って

赤ちゃんを見守る母親
新生児期は排便のペースが安定していないため、数日うんちがでないことはよくあります。しかし同時に体調に異変があれば、早めの受診がおすすめです。赤ちゃんが機嫌良くしているなら便意を促すマッサージなどを取り入れて、注意深く様子を見守ってあげましょう。
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