沐浴とは?「初めてでも安心」お風呂の入れ方や注意事項を紹介【産婦人科医監修】
監修:宮本亜希子 先生

監修:宮本亜希子 先生

・東京美容外科 婦人科医
・日本産婦人科学会 認定専門医
・日本女性心身医学会
・日本生殖医学会
・PILLクリニック新宿院長

2006年兵庫医科大学卒業。現在Pillクリニック新宿院長、分娩取扱クリニックでも勤務。専門は産婦人科全般で周産期、婦人科美容、アンチエイジングなど女性の悩みに寄り添う。性教育やHPVワクチンの普及、女性のQOLの向上にも尽力。3児の母でもあり、自身の経験を生かし、診療やメディア活動も行なっている。
また、音声アプリclubhouseやTwitterのスペース機能、東京美容外科YouTube等で「あっこ先生」としてNGのないトークで人気を集めている。

沐浴とは?必要な期間と目的

赤ちゃんをお風呂に入れる様子
生まれて間もない赤ちゃんを雑菌などから守るため、家族とは別にお風呂に入れることを沐浴(もくよく)と言います。沐浴の意味と必要な期間、沐浴のメリットを解説します。

細菌感染から赤ちゃんを守るのが目的

沐浴とは、ベビーバスなどを使って赤ちゃんの体を洗ってあげることです。生まれたばかりの赤ちゃんは抵抗力が弱いので、細菌感染を防ぐために家族とは別でお風呂に入れてあげる必要があります。

沐浴の期間

へその緒が取れて乾いてくる生後1ヵ月頃までは、沐浴が望ましいです。新生児期を過ぎたら、大人と一緒にお風呂に入っても問題ないとされています。おへその状態には個人差があるので、健診で医師に確認してから沐浴を卒業しましょう。

沐浴のメリット

沐浴は、赤ちゃんの体を清潔に保つ以外にも良いことがたくさんあります。例えば、赤ちゃんに声をかけながら触れ合うことで、親子のコミュニケーションが深まります。
もし赤ちゃんの体に湿疹などができていれば、すぐに気づいてあげられるでしょう。また体が温まるため、ぐっすり眠ってくれることも期待できます。

沐浴で必要なもの・あると良いもの

小さなお風呂に入ったたくさんのバスグッズ
沐浴にはベビーバスやベビーソープの他、揃えておきたいグッズがいくつかあります。必要なものやあると便利なものを紹介します。

ベビーバス

沐浴は、赤ちゃん専用のベビーバスを使用するのが一般的です。プラスチック製やエアー製があるので使いやすいものを選びましょう。
プラスチック製は安定感がありますが、収納スペースの確保が必要です。エアー製は軽くて持ち運びやすいものの、プラスチック製に比べると不安定で壊れやすいのが注意点。
洗面台で沐浴するならフィットしやすいエアー製にするなど、使用する場所も考慮するのがポイントです。

洗面器

赤ちゃんの顔を拭いてあげたり、ベビーソープを洗い流してあげたりする時のために使用します。沐浴の際は、お湯を溜めて準備をしておきましょう。

ベビーソープ

体を洗う石鹸も、赤ちゃん専用のベビーソープを使いましょう。泡で出てくるベビーソープなら片手でも使いやすいです。
家族が不在でひとりで沐浴させるのが大変な時などは、洗い流さなくても良い沐浴剤を使うのもおすすめ。ただしベビーソープより洗浄力が弱いので、汗や汚れを落としたい場合には不向きです。

ガーゼ・沐浴布

赤ちゃんの顔や体は、ガーゼのハンカチを使って洗います。
また沐浴布と呼ばれる、木綿やガーゼ素材の大きめな布もあると便利です。赤ちゃんを沐浴布でくるんで入浴させると、お湯に驚きにくくなったり、安心してくれたりする効果があると言われています。

その他にあると便利なもの

湯温計でお風呂の温度を計る人の手
ベビーバスに入れるお湯の温度を測る湯温計、沐浴後の赤ちゃんの肌を乾燥から守るベビーローションや乳液、おへそや鼻・耳周りの水分を取るのに重宝する綿棒も、あると便利なアイテムです。

沐浴の流れと手順

沐浴後の赤ちゃん
沐浴をスムーズに行うためには、流れを把握しておくのが大切です。全体的な流れや詳しい手順をしっかり確認し、赤ちゃんが安心できる沐浴にしましょう。

沐浴の準備

あらかじめ沐浴後の着替えやオムツ、体を拭くタオルなどを用意しておくと慌てません。着替えは重ねて袖を通しておくと、着せる時にスムーズです。
ベビーバスと洗面器には、38〜40度くらいのお湯を溜めておきます。湯量はベビーバスの1/2〜2/3ほどが目安です。気候に合わせて室温も調整しておきましょう。

お風呂の入れ方

沐浴で赤ちゃんがお湯に触れている時間は、10分前後が目安です。
  1. 赤ちゃんをお湯に入れる
  2. 首とおしりを両手でしっかり支えて足からお湯に入れます。
  3. 顔を洗う
  4. 濡らしたガーゼで目の周りから、顔全体を優しく拭き取ります。ガーゼは1回ごとにすすぐようにしましょう。
  5. 頭を洗う
  6. ベビーソープや石鹸を泡立てて手のひら全体で洗い、お湯で十分に洗い流します。
  7. 体を洗う
  8. 首や胸・腕など体の正面を洗ってから、逆の手に赤ちゃんを乗せかえて背中を洗い、一番最後におしりを洗います。耳の裏・首まわり・脇の下などの皮脂が溜まりやすい場所はしっかり洗いましょう。※こすりすぎには注意
  9. 泡を流す
  10. 最後に洗面器に溜めておいたお湯でベビーソープの泡をしっかり流します。

沐浴後のケア

赤ちゃんの体にクリームを塗る様子
お湯から出たらバスタオルの上に寝かせ、軽く押さえるように水分を拭き取ります。その後はベビーローションや乳液で、肌の保湿ケアも忘れずに。また、母乳やミルクを与えて水分補給させるのも大切です。

沐浴に関するよくある疑問

アヒルがお風呂に入っている置物
沐浴は基本的には1日1回、家族の生活リズムに合わせて行うのが理想です。沐浴に関するよくある疑問に答えます。

沐浴のタイミングは?

沐浴を行う時間帯に決まりはありませんが、なるべく朝・昼・夕方などおおよそ同じくらいの時間にすると生活リズムが整いやすくなります。赤ちゃんの機嫌に合わせても構いませんが、以下のタイミングは避けるようにしましょう。
<沐浴を避けた方が良いタイミング>
  • ■深夜
  • 体が温まると脳が興奮して赤ちゃんがぐずりやすくなると言われています。
  • ■授乳前後
  • 授乳前はお腹が空いていて赤ちゃんが不機嫌になりやすく、授乳直後は沐浴中に赤ちゃんが吐き戻してしまうおそれがあります。授乳後は30分くらい間を空けるのがおすすめです。

回数・頻度は?

沐浴はなるべく毎日、1日1回が理想です。赤ちゃんは新陳代謝が活発なので、汗をかいていないように見えても多くの汗をかいています。皮脂も溜まりやすく、放置すると湿疹などの肌トラブルの原因になるので、できるだけ清潔に保ってあげましょう。
夏場など汗が気になる日は1日2〜3回入れてあげても良いですが、1回の時間を短くする、汗をお湯で流すだけにするなど、赤ちゃんが疲れない工夫が必要です。反対にママやパパ、赤ちゃんの体調が悪い時は、無理に入れなくて構いません。濡れタオルで体を拭いてあげるだけでもすっきりしますよ。

どこで行うのが良い?

沐浴する場所はママ・パパが動きやすいところを選びましょう。バスルームの他、洗面台やリビングなどで行う人が多いです。リビングの場合は、テーブルや防水シートの上にベビーバスを置くとお湯が飛び散っても気になりません。

沐浴で気を付けるポイント

無理せず安心して赤ちゃんにお風呂に入ってもらうのが沐浴の大事なポイントです。沐浴で気を付けたいポイントを紹介します。

無理して入れる必要はない

必ずしも毎日沐浴しないといけないわけではありません。ミルクをあまり飲まない、吐き戻しがひどい、元気がない、熱があるなど赤ちゃんの体調がすぐれない日は沐浴を控えましょう。赤ちゃんの機嫌が悪い時も、無理して入れる必要はありません。

赤ちゃんの頭はしっかり支える

赤ちゃんをお風呂に入れる様子
沐浴では、基本的に利き手ではない方の手で赤ちゃんの首のうしろをしっかり支えてあげます。ベビーバスの端にのひじを置くようにしながら赤ちゃんの頭を支えると、安定しやすいですよ。

泣き出したら安心させてあげる

沐浴中に赤ちゃんが泣き出すのは、お湯に触れてびっくりした、体が不安定で不安になったなどの理由が考えられます。赤ちゃんはつかまるものがあると安心するので、沐浴布を手に握らせたり、両手を握ってあげたりしながら優しく声をかけると泣き止むかもしれません。
なお、お湯から出すと体が冷えてしまうので、抱き上げてあやさずに先に洗ってしまうのがおすすめです。

耳に水が入っても慌てない

耳には毛が生えていて水を弾くようになっています。自然に蒸発もするので、多少耳に水が入ってしまっても、基本的には心配いりません。不安なら沐浴後にガーゼや綿棒で優しく水気を吸い取ってあげると良いでしょう。

流れやポイントを押さえて沐浴を楽しもう

赤ちゃんをバスタオルで拭く夫婦
沐浴が必要なのはおおよそ生後1ヵ月までの短い期間。沐浴が初めてのママやパパは戸惑うこともあるかもしれませんが、流れやポイントを把握しておけば心配ありません。肩の力を抜いて今だけの体験を楽しみましょう。
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