【医師監修】産後の肌荒れに悩むママへ。原因と対策、よくあるQ&Aを紹介

川崎 加織先生

皮フ科かわさきかおりクリニック院長。医学博士 日本皮膚科学会専門医 日本抗加齢医学会専門医。
「体の内外から美しくなれるクリニック」をコンセプトに一般皮膚科診療だけでなく、美容医療、頭髪治療なども行っている。またweb雑誌での連載やサプリメント・化粧品の監修などでも、多方面に活躍の場を広げている。

※本記事に関する監修医へのお問い合わせはお控えください

産後の肌荒れの原因は?

鏡で肌のチェックをする女性
産後の肌荒れの大きな原因の一つはホルモンバランスの変化です。その他、出産・育児による生活リズムや体調の変化が影響する可能性もあります。まずは産後の肌荒れの原因を解説します。

女性ホルモンの増減

出産後に肌荒れしやすくなる大きな原因の一つは、ホルモンバランスの変化です。妊娠期間中は女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの分泌が増え、出産時にピークとなり、出産後は減少していきます。なかでもコラーゲンを生成する線維芽細胞を活性化させ、肌のツヤやハリを保つのに役立つエストロゲンが急激に増減することで、さまざまな肌トラブルが誘発されます。

生活リズムの変化

出産後、赤ちゃんのお世話でママの生活リズムが大きく変化するのも肌荒れの原因の一つ。昼夜問わない授乳やおむつ替えで、ママは睡眠不足に陥りやすい状態です。睡眠不足になると、肌のターンオーバーが乱れやすくなります。ターンオーバーとは肌の古い細胞と新しい細胞を入れ替える周期のことで、肌をすこやかに保つために重要な働きをしています。他にもストレスや食生活の乱れによって肌のバリア機能が低下すると、肌トラブルを起こしやすくなります。

便秘や肩こりの影響

出産による体へのダメージや母乳育児による水分不足、生活リズムの乱れなどにより、出産後に便秘になる女性は多いもの。便が腸内に長く留まると有害物質が発生し、吹き出物などの肌荒れの原因となります。抱っこなどで生じる肩こりも、血行を滞らせ肌のくすみなどを起こしやすくなります。

産後の肌荒れを予防・改善するための対策

産後の肌荒れ対策には、食生活・生活リズムの見直し、スキンケアでの保湿が有効です。難しい場合は皮膚科で相談すると良いでしょう。肌荒れの予防・改善のために行いたいことを紹介します。

食生活を見直す

栄養が豊富な食材
肌荒れの予防・改善には、肌をすこやかに保つために必要な栄養素を積極的に取り入れると効果的です。美肌に導いてくれる栄養素がビタミンA・B・C・E、腸内環境を整える働きをするのが食物繊維や乳酸菌です。下記の食材を参考に、定期的に摂取できるよう意識してみましょう。
栄養素 栄養を多く含む食材
ビタミンA レバー、卵黄、うなぎ、ニンジン、ほうれん草など
ビタミンB レバー、豚肉、魚介類、ナッツなど
ビタミンC アセロラ、キウイ、イチゴ、牡蠣など
ビタミンE アーモンド、落花生、ツナ缶、うなぎ、モロヘイヤなど
食物繊維 ひじき、焼きのり、切り干し大根、きのこなど
乳酸菌 納豆、キムチ、ぬか漬け、ヨーグルト、チーズなど
料理の手間を省くには、宅配の利用がおすすめです。

十分な休息・睡眠をとる

睡眠中には成長ホルモンが分泌され肌のターンオーバーが促されるので、十分な睡眠をとることは肌荒れ対策として非常に有効です。アロマを炊いたり、首への負担が少ない枕やアイマスクを用意したりして、熟睡できる環境を整えましょう。
血行を良くすることも肌荒れ改善につながります。肩こりがひどい時は、プロのマッサージやリラクゼーションに行くこともおすすめです。心身ともにリラックスでき、肌荒れ以外にも良い影響を与えてくれるでしょう。
産後のママには難しいかもしれませんが、パパや家族にも協力してもらいながら、しっかり休息・睡眠をとることが大事です。

肌を保湿する

保湿する女性
肌荒れ対策に保湿は怠れません。化粧水や美容液などはなるべくこまめに塗るようにしましょう。とくに産後はターンオーバーが乱れやすく、肌の乾燥を招いてさらなる肌トラブルを引き起こしやすい状態なので、通常よりも念入りな保湿ケアが必要。空調による部屋の乾燥を防ぐため、加湿器を使うのも効果的です。
なお、産後の肌は敏感なので、オーガニック化粧品など肌にやさしい成分のものを選ぶことも大切です。

皮膚科で相談する

食生活の乱れ、睡眠不足など原因が分かっている場合は、まずはその点を見直すことが大事ですが、なかなか改善しない時は無理せず皮膚科で相談しましょう。皮膚科では自分に合った薬の処方などをしてもらえます。医師の指示に従って適切な対処を行うことで、早めの改善を目指せます。

産後の肌荒れに関するよくあるQ&A

最後に、産後の肌荒れに関するよくある疑問についてお答えします。適切な対策を行うためにもチェックしておきましょう。

産後の肌荒れはいつまで続く?

鏡を見て悩む女性
肌荒れしやすい期間は人それぞれですが、おおよそ半年〜1年くらいみておきましょう。一般的には、母乳育児をしているママの方が回復まで時間がかかると言われています。肌荒れには女性ホルモンであるエストロゲンが影響していて、授乳中はエストロゲンの生成を抑制するホルモンが分泌されるためです。
産後、長い時間をかけてホルモンバランスが妊娠前の状態に戻っていくとともに、肌の状態も回復していきます。授乳の間隔が長くなり十分な睡眠がとれるようになる、生理が再開する、離乳食が始まり授乳が不要になるといったステップを踏んで、徐々にエストロゲンの分泌量も増えていきます。

肌荒れしている時に洗顔で気を付けることは?

洗顔フォームとタオル
洗顔では、なるべく肌に刺激を与えないようにしましょう。洗顔料はやさしい洗浄成分のものを選び、ゴシゴシと擦らずしっかりと立てた泡でなでるように洗います。すすぎもシャワーの水流を弱めるか、ぬるま湯を手ですくうようにして優しく丁寧に洗い流しましょう。とくに肌が敏感な時は、洗顔料も刺激になるので水のみの洗顔を取り入れると良いかもしれません。
洗顔の頻度は朝・夕の1日2回が基本。洗いすぎにも注意です。

吹き出物は潰した方が早く治る?

産後の肌荒れはとくに吹き出物に悩む人が多いですが、早く目立たなくしたいからといって潰すのは厳禁。吹き出物を潰すと雑菌が入り、治りにくくなるだけではなく皮膚が凸凹としたニキビ痕になる可能性があります。なるべく触らないことが吹き出物を治す近道です。どうしても気になる場合は、皮膚科で処置してもらうのがおすすめです。

肌荒れに効くサプリメントを飲んでも良い?

授乳をしている間は、サプリメントの使用は慎重に。サプリメントにもさまざまな種類があり、なかには成分が母乳を通して赤ちゃんに影響を与えるおそれがあるものもあります。逆に安全なサプリを上手く摂取することで、親子で症状が改善することもあります。安全性の高いサプリメントの種類を選んで、摂取しましょう。

産後の肌荒れは焦らず丁寧に対策していこう

頬を指で押さえる女性
産後はホルモンのバランスや生活の変化により肌荒れしやすい状態です。早く治すためには、バランスのとれた食事や十分な睡眠を意識していくのが大切。肌トラブルの原因はさまざまです。育児で忙しくなかなか思うようにいかない場合は、医師にも相談して適切な対策をみつけましょう。
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