【助産師監修】母乳はいつから出るの?出を良くする方法と授乳中の注意点を解説
監修:是枝貴子 先生(助産師)

監修:是枝貴子 先生(助産師)

産前産後のママとベビーのためのヘルスケアサロン「マミーサロン」代表 助産師
助産師として病院勤務をしていたとき、大変なお産や身体の不調で出産が辛い思いをしている産前産後の女性を多く見てきた。
それらの症状が、骨盤ケアにより予防改善できる事がわかり、自身で、産前産後のママとベビーのためのヘルスケアサロン「マミーサロン」を2006年に開業。ママと赤ちゃんの心と体の健康をサポートするために日々活動している。

※本記事に関する監修者へのお問い合わせはお控えください

母乳はいつから出るの?

生まれたばかりの赤ちゃんとママ
母乳は出産後すぐに出るようになるわけではなく、赤ちゃんが頻繁におっぱいを吸うことにより分泌が促されます。まずは母乳が出始める時期や作られる仕組みを見ていきましょう。

母乳が出始める・安定する時期

乳腺の発達は妊娠初期から始まるといわれていて、妊娠期や出産後にかけて成熟します。またおっぱいの大きさは関係なく、妊娠中から母乳の分泌が始まる方もいれば、出産後から分泌が始まる方も。
出産後に赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激で母乳の分泌は促進されますが、産後2~3日くらいから徐々に母乳の分泌量が増えていきます。分泌が軌道に乗る時期や分泌量には個人差がありますが、1ヵ月程度、遅くても生後2ヵ月もすれば安定する場合がほとんどです。ただし、産後のママの体の回復具合や、直接おっぱいを与える頻度によっては、母乳の分泌が伴ってきづらいこともあります。

母乳が作られる仕組み

母乳はママの血液からできています。妊娠中に乳腺が発達し、出産後赤ちゃんにおっぱいを吸われることで「母乳を出すときがきた」と脳に伝わり、母乳が分泌され始めます。
その際に活躍するのが「プロラクチン」や「オキシトシン」というホルモンです。プロラクチンは乳汁の産生を促し、オキシトシンは母乳を乳腺から押し出します。これらのホルモンの働きにより、母乳が出るようになります。

母乳の分泌を増やす4つの方法

ママを見ながら母乳を飲む赤ちゃん
母乳育児をしたいと思っても、なかなか母乳の量が増えないこともあるかもしれません。ここからは、母乳の分泌を増やす方法を紹介します。

【母乳を増やす方法①】赤ちゃんに吸わせる

母乳の量を増やすためには、赤ちゃんに頻繁に吸ってもらうのが一番です。母乳が出ないから吸わせないのではなく、出るようにするために何度も吸わせます。
特に体の小さな赤ちゃんだと、お口のサイズとママの乳頭のサイズが合わずに苦戦する場合もありますが、何度も吸わせているうちに慣れてきて上手に飲めるようになることも。ただし乳頭が痛い、産後の体調が思わしくないなどの症状があれば無理をせず、様子を見て医師や助産師に相談をしましょう。

【母乳を増やす方法②】正しい授乳姿勢で与える

母乳育児をスムーズに行うためには、正しい抱っこの仕方とおっぱいの含ませ方が大切です。授乳姿勢が悪いと赤ちゃんがおっぱいを含みにくくなってしまい、しっかりと吸うことができません。
またおっぱいがきちんと吸えずに飲み残しが多くなってしまうと、母乳が詰まり乳腺炎といったトラブルに発展するリスクが高くなります。きちんと吸ってもらうためにも授乳する際は、ママと赤ちゃんが良い姿勢を保てるように意識しましょう。
【正しい授乳姿勢のポイント】
  1. ママと赤ちゃんの体が密着している
  2. 赤ちゃんの頭と体が捻れていない
  3. ママの体が前かがみにならず、赤ちゃんをおっぱいの高さに引き寄せている
低月齢の赤ちゃんの場合、体が小さいためおっぱいの高さに引き寄せるのが難しいことも考えられます。高さを調整するために授乳クッションを活用すると、格段に授乳姿勢が整いやすくなるでしょう。

【母乳を増やす方法③】おっぱいマッサージをする

おっぱいマッサージは、乳腺の詰まりの予防や血流を良くするのに効果的です。乳頭が硬いと赤ちゃんが吸いにくいため、乳頭や乳輪をほぐすようにマッサージすることで吸いやすくなります。
マッサージは、入浴後のように体が温まっているときに行うのがおすすめです。ただし必要以上のマッサージはかえっておっぱいのトラブルにつながることもあるので、無理のない範囲で行いましょう。

【母乳を増やす方法④】バランスの良い食事や水分補給を心がける

母乳を作るにはエネルギーが必要であるため、産後のママの回復とあわせて、バランスの良い食事を摂ることが大切です。特に不足しがちな鉄分や葉酸、カルシウムなどは積極的に摂るのがおすすめです。
また母乳は血液から作られるので、授乳中のママは水分不足になりやすくなります。こまめな水分補給も忘れずに行いましょう。

母乳が出ない3つの原因

疲れが溜まっているママ
母乳には個人差があるので「母乳が出ない」「量が少ない」などの原因も人それぞれ。ここでは代表的な原因を紹介します。

【原因①】母乳をあげる回数が少ない

母乳をあげる回数が少ない場合、母乳が出なかったり、量が減ったりする原因になります。母乳が出るのを促すホルモンは、赤ちゃんが吸う刺激で分泌されます。そのため、赤ちゃんが吸う回数が少ないと母乳が出なくなってしまいます。赤ちゃんの月齢によっても異なりますが、母乳は欲しがるタイミングであげるのがおすすめです。

【原因②】ママの疲れやストレスがたまっている

疲れやストレスがたまると、自律神経やホルモンのバランスが乱れて母乳が出にくくなります。初めての出産や育児は大変ですが、できるだけこまめに休憩して睡眠時間を確保し、疲労を回復するようにしましょう。ストレスと上手に付き合うことも大切です。

【原因③】赤ちゃんが上手に吸えない

乳頭が硬く、吸いにくい形をしている場合、赤ちゃんがきちんと口にくわえられずに上手く吸えないことも考えられます。通常、授乳回数が増えることで徐々に赤ちゃんも慣れていきます。しかし正しく吸えていない場合、授乳回数を増やしても上手に飲めません。そのため、母乳が出なくなることがあります。

母乳にまつわる疑問

体重を量る赤ちゃん
最後に、母乳が出過ぎる場合はどうしたらいいのか、いつまで母乳が出るのかなど、母乳にまつわるよくある疑問を解説します。

なぜ水分補給が大切なの?

母乳はママの血液で作られるため、授乳中は水分不足になりやすくなります。体を冷やさないように冷たい水は避け、1日2リットルの常温水を飲むようようにしましょう。
また一度にたくさん飲んでも必要量を超えた余分な水分は体内に吸収しきれず、尿や汗として出てしまいます。1日8回を目安に、コップ1杯の水分をこまめに飲むことが大切です。

母乳が出過ぎる場合はどうしたら良いの?

飲みきれなかった母乳が乳房にたまり過ぎると、乳腺炎になる可能性が高まります。またおっぱいが張って痛くなることも。
もしおっぱいが張って痛い場合は、保冷剤をタオルで包んでおっぱいに当て、ゆっくりと気持ち良く感じる程度に冷やします。なお、おっぱいは搾れば搾るほど、余計に母乳が作られ乳房が張ってしまうので、自己判断での搾乳は控えましょう。

母乳が足りているかを確認するには?

赤ちゃんの体重が増えない、機嫌が悪い場合は、母乳を十分に飲めていない可能性があります。赤ちゃんは生後数日の間は生理現象で体重が減りますが、1週間ごろには出生体重に戻り、その後は増えていきます。もし母乳を与えていても体重が増えない場合は、母乳が足りていない可能性があるため、医療機関に相談をしましょう。
【赤ちゃん(生後6ヵ月まで)に母乳が足りていないサイン】
  • 体重が増えない(体重増加の平均 1日20~30g以下)
  • おしっこの回数が少ない(1日6回以下)
  • 毎日うんちが出ない
  • 母乳を飲んでもすぐに泣く、機嫌が悪い

母乳はいつまで出るの?

赤ちゃんがおっぱいを吸っている間は、新しい母乳が作られて出続けます。そのため赤ちゃんが吸わなくなると母乳は自然と出なくなりますが、いつまで出るかは個人によって異なります。
母乳をいつまで与えるかは、出産後のママの体質や赤ちゃんの成長にもよります。ママと赤ちゃんにあったペースで卒乳を検討しましょう。

母乳がいつから出るのかはママの体質によってそれぞれ

ママの指を握りながら母乳を飲む赤ちゃん
母乳は出産して数日から出始めることが多いですが、時期や出る量はママの体質や赤ちゃんの吸う力、頻度によってそれぞれ。授乳を続けるうちにママも赤ちゃんも徐々に慣れて、上手に母乳を飲めるようになっていきます。気になることがあれば医療機関に相談しながら、母乳育児を楽しみましょう。
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