【医師監修】帝王切開はいつまで痛い?痛みを和らげる方法や過ごし方、家事のコツを紹介
監修:まきレディスクリニック院長 風本真希 先生

監修:まきレディスクリニック院長 風本真希 先生

米国マサチューセッツ州ハバブソンカレッジ留学
近畿大学医学部 卒業
大阪市立大学医学部付属病院 勤務
ロイヤルベルクリニック不妊センター 勤務
パークサイド広尾レディスクリニック 院長

毎日数多くの妊婦さんの検診に立ち会い相談に乗っている。 患者さんのお話に真摯に耳を傾けることが信条。

※本記事に関する監修医へのお問い合わせはお控えください

帝王切開の痛みはいつまで続く?

お腹をおさえる女性
帝王切開の痛みは、術後数日をピークに次第に落ち着いていきます。まずは、痛みを感じやすい期間と経過を解説します。

術後0日〜3日:痛みを感じるピーク

手術時の麻酔が切れ、最も痛みを感じるのが術後3日くらいまでの「炎症期」と呼ばれる期間です。特に手術当日の夜から2日後くらいまでが痛みのピークとなり、3日を過ぎると徐々に落ち着いていきます。
この時期は、切開部位の上皮を形成する再上皮化が起こり傷口を閉じていく過程で、傷口が引っ張られるようなズキズキとした痛みを感じる人が多いようです。妊娠中に大きくなった子宮が産後に元の大きさに戻ろうとする「子宮収縮」の痛み(後陣痛)が合わさっていることも。

術後4日〜3週間:かゆみや赤みが出てくる

術後4日〜3週間くらいまでの「増殖期」は、痛みのピークが終えてかゆみなどを感じる人が増えてくるころです。新しく生まれた細胞によって傷口がふさがれていくことで、傷口付近にかゆみや皮膚の赤みが生じます。痛みは軽くなり動けるようになる人が多いですが、個人差があるためまだまだ注意が必要です。

術後3週間〜1年:時折り痛みを感じることも

術後3週間を過ぎたころを「成熟期」と呼び、細胞の活動が落ち着いてきて痛みやかゆみが軽くなっていきます。傷あとも白っぽくなり、徐々に目立たなくなるでしょう。
ただし痛みが落ち着いた後も、くしゃみなどでふとお腹に力を入れてしまった時や、天気の悪い日などに傷口がピリッと痛むことがあります。回復するまでには個人差がありますが、痛みを感じなくなるまで1年くらいかかる人もいます。

いつまでも続く帝王切開の痛みを和らげる方法

ベッドの上で眠る女性
帝王切開の痛みを和らげるには、無理せず医師に相談し、自宅ではくつろげる環境を用意すると良いでしょう。帝王切開の痛みが続く場合に試したい対処法を紹介します。

痛み止めを処方してもらう

帝王切開後は7〜10日ほどの入院となるので、術後すぐの痛みが強い場合は、医師に相談すると痛み止めや座薬などを処方してもらえます。退院した後も痛むことが心配な場合には、入院中に相談しておくと内服薬を処方してもらえる場合もあります。病院では赤ちゃんに影響のない薬を処方しているので、自己判断で市販薬を服用しないようにしましょう。

楽な姿勢を探す

姿勢によって痛みが軽減されることがあるので、なるべく楽な姿勢を探してみましょう。どんな姿勢が楽かは人によって異なりますが、お腹に力が入りやすい姿勢は避けた方が良いでしょう。例えば横になる時は抱き枕をかかえる、足の間にクッションを挟むなどが効果的です。

お腹を温める

体が冷えると痛みを感じやすいので、なるべく体は温めましょう。お腹を温めるには腹巻が便利。術後3ヵ月後くらいからなら、カイロも良いです。ただし、カイロは創部の上に貼ることは控えてください。

白湯やノンカフェインの温かい飲み物を飲んで、体全体を温めるのもおすすめです。血行が良くなると後陣痛の痛みも緩和されます。

体と心をリラックスさせる

心身ともにリラックスすると痛みが和らぎやすくなります。傷口を圧迫してしまう下着や洋服は避け、体を締め付けないゆとりのあるものを選びましょう。また、アロマを焚いたり好きな音楽をかけたりして気分転換し、痛みから気をそらす方法もあります。

いつまで安静が必要?痛みを悪化させない帝王切開後の過ごし方

ベッドに座ってお腹をおさえる女性
体が回復してくる術後1ヵ月くらいまでは、できる限り安静に過ごすようにします。育児や家事はすぐに完璧に行おうと思わず、なるべく家族や周囲の人の手を借り、休める時は休むことが大切です。しゃがんだりお腹に力を入れたりする動作も負担となるので、赤ちゃんを抱っこするより重いものを持つのは避けましょう。また、車の運転や運動は基本的には禁止です。
1ヵ月健診で医師から術後の経過に問題がないと確認がとれたら、徐々に元の生活に戻って大丈夫です。

帝王切開の傷あとを残さないためのケア方法

クリームを手に取る女性
帝王切開の傷あとを残さないためには、なるべく触らずに清潔に保つことが大切です。傷あとを目立たなくするケア方法を紹介します。

専用テープで保護する

帝王切開の傷あとに貼る専用テープが市販されています。衣類との摩擦や紫外線、皮膚の伸縮による刺激を防ぎ、傷あとを悪化させないよう保護できます。痛みの緩和にも効果があるようです。商品の使用方法を確認の上、傷あとが肌の色に近くなるまで、術後3ヵ月から6ヵ月程度ケアを続けるのが目安です。

クリームを塗って保湿する

保湿クリームを塗って肌をやわらかく保つと、傷あとの治りを早くしたり、皮膚が引っ張られてかゆみを感じるのを和らげたりできます。かゆいからと掻いてしまうと、バイ菌が入って傷あとが残りやすくなるので要注意です。お風呂上がりは特に肌が乾燥しやすいので、こまめにクリームやボディローションを塗ってケアしましょう。

傷あと部分を清潔に保つ

体調が良ければ術後数日でシャワーが可能となるので、体は清潔に保ちましょう。傷あとの部分を洗う時はボディソープを使用せず、お湯で洗い流すだけで大丈夫です。ボディソープを使いたい場合は、しっかり泡立ててから優しく洗い、泡が残らないように流します。なお、湯船に浸かるのは1ヵ月健診で医師の確認がとれてからです。

違和感があればすぐに医師に相談を

痛みやかゆみが強い、傷あとが炎症を起こして赤くなっているなど、違和感があればすぐに医師に相談しましょう。病院では傷あとの治癒を助ける内服薬や炎症を抑える外用薬、かゆみ止めの軟膏などを処方してもらえます。

帝王切開の痛みがいつまでも続く場合に取り入れたい家事のヒント

赤ちゃんを抱っこする妻と料理をする夫
行わないわけにはいかない家事は、便利なサービスや家電を活用したり、家族で分担したりして、体への負担を減らしましょう。産後に取り入れたい家事の負担を軽減する方法を紹介します。

食事|宅配を活用する

食事の用意は、ネットスーパーや食材・お弁当の宅配サービスを活用しながら無理のない範囲で行いましょう。料理する際はこまめに椅子に座って休憩をとりつつ、短時間でできる簡単な汁物やおかずなどから始めるのがおすすめです。食後の食器洗いは、食器洗濯機を導入すると手間が省けます。

洗濯|家族で分担する

濡れて重くなった洗濯物を運んだり、冷たい洗濯物を干したりする作業はなるべく避けたいもの。できれば家族に頼むのが理想です。座りながらできる乾いた洗濯物を畳む作業くらいなら、体調が良い日は進んで行っても良いかもしれません。家族に協力を頼むのが難しい場合は、乾燥機付き洗濯機が強い味方になってくれます。

掃除|負担をかけずにできるところから始める

基本的に産後すぐは掃除全般を控えるのが望ましいです。特に水を使う掃除は家族に頼み、体に負担の少ない作業に留めておきましょう。例えばフローリングワイパーなどで気になる場所をさっと拭く程度なら協力できます。この機会に掃除ロボットなどの家電を導入すれば、今後の掃除も楽になります。

帝王切開の痛みをいつまでも引きずらないためには適切な対処を

ベッドの上で赤ちゃんと横になる女性
帝王切開の術後数日〜3週間ほどは、痛みやかゆみを感じやすい時期です。なるべく無理はせず安静にして過ごし、傷あと部分に違和感がある場合は薬を処方してもらう、痛みが和らぐような環境を整えるなどの方法で対策をしましょう。毎日の家事は家族と分担したり、宅配などの便利なサービスを利用したりするのがおすすめです。
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