【産婦人科医監修】後陣痛はいつまで続く?痛みのピークや和らげる対処法も紹介
監修:浅野 仁覚(あさの きみさと)先生

監修:浅野 仁覚(あさの きみさと)先生

アクアベルクリニックで勤務
医師免許 医学博士 産婦人科専門医を保有

※本記事に関する監修医へのお問い合わせはお控えください

出産後に感じる後陣痛とは。痛みはいつまで続くの?

ベッドの上でお腹を押さえる女性
出産後に本陣痛に似た痛みを2~3日ほど感じるのが後陣痛です。後陣痛の意味と痛みの特徴、痛みが出やすい期間を紹介します。

子宮収縮に伴う正常な生理現象

後陣痛(こうじんつう)とは、子宮復古に伴って起こる陣痛のような痛みのことです。出産直後より、大きくなった子宮は元の大きさに戻ろうとします。産後4週間くらいで妊娠前と同じくらいの子宮のサイズに近づき、産後6〜8週間で元の子宮の大きさに戻ります。
このように、後陣痛は子宮の収縮による正常な痛みです。出産により剥がれ落ちた胎盤を排出したり、出産に伴う出血を止めたりするための大切な生理現象ともいえます。

人によっては本陣痛のような激しい痛みも

後陣痛が起こるのは子宮がある下腹部や腰のあたりです。痛みの程度には個人差があるため、後陣痛をあまり感じない人もいれば、本陣痛と同じくらいの激しい痛みが出る人もいます。
子宮の収縮により、子宮がギューっと絞られたり、キリキリしたりなど生理痛にも似た痛みを感じるのが特徴です。程度によっては、後陣痛がひどく数日にわたって痛み止めを服用する人もいます。

痛みのピークは産後2〜3日

後陣痛を感じる時期には個人差がありますが、多くの場合は出産当日〜3日目程度が痛みのピークです。産後4日目以降には、少しずつ痛みは落ち着いていくでしょう。
ただし、一度痛みが治まっても、産後4週間くらいは授乳や搾乳時に後陣痛が現れることも珍しくありません。人によっては、産後8週頃まで後陣痛が続くことも。

後陣痛が強く現れやすいママの特徴

赤ちゃんに授乳するママ
個人差があるものの、後陣痛で強い痛みを感じる人にはいくつかの傾向があります。後陣痛が現れやすい人の特徴をチェックしておきましょう。

母乳育児をしている

授乳時は、乳頭が刺激されて脳から「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。オキシトシンには乳汁の分泌を促す作用の他、子宮収縮を促進させる作用もあり、後陣痛の痛みが増強されやすくなります。そのため母乳育児や、搾乳によっても後陣痛を感じる人が多いようです。
後陣痛が辛い時は、痛みが治まってから授乳や搾乳を行いましょう。

以前にも出産経験がある

経産婦の人は、初産の時よりも後陣痛を強く感じる傾向があります。初産よりも2人目以降の出産の方が、子宮収縮のスピードが早く、痛みが強くなりやすいためです。
初産の時に後陣痛を感じなかった人でも、2人目、3人目と出産回数を重ねるごとに、痛みが出やすくなることもあります。経産婦の人は、出産後の後陣痛に対する心づもりをしておきましょう。

双子の出産や羊水過多だった

双子などの多胎妊娠や羊水過多だった人は、後陣痛が強く現れやすくなります。通常よりも子宮が大きく引き伸ばされ、その分子宮が元に戻ろうとする力も強まるためです。
後陣痛は子宮の収縮によって起こりますが、人によっては引っ張られるような痛みを感じることもあります。

子宮収縮剤を投与されている

出産時に出血が多くみられた場合、血管の収縮を助けるために、子宮収縮剤が投与されることがあります。子宮収縮剤にオキシトシンが含まれていると、子宮収縮が促され後陣痛が強く現れる原因となります。
産院によっては、出産後の大きな出血を抑えるために子宮収縮剤を処方している施設もあるようです。

いつまでも辛い後陣痛を和らげる方法

ソファに座ってお腹を温める女性
お腹を温めながらリラックスすると、痛みが和らぐ人が多いようです。後陣痛が辛い場合に試したい対処法を紹介します。

お腹を温める

後陣痛がある時は、下腹部や腰回りを冷やさないようにしましょう。痛みが強い時は、カイロや湯たんぽ、温かいシャワーをお腹に当てると和らぎやすくなります。
普段の生活でも、お腹を冷やさないような服装を心がけることが大切です。お腹周りを腹巻きやショールなどで覆うのもおすすめです。

痛みを感じにくい姿勢で休む

後陣痛がひどい時は、できるだけ痛みを感じにくい楽な姿勢で体を休めるのがおすすめ。痛みが楽になる姿勢には個人差がありますが、本陣痛の時と同様に横向きや、クッションや枕を抱えて軽く体を丸める姿勢などを試してみましょう。
寝転んだままで膝の曲げ伸ばしをするなど、自分なりに試行錯誤してみることで良い姿勢が見つかるかもしれません。

優しくマッサージする

痛みを感じる部分を優しくマッサージすると、痛みが引いてくることがあります。痛みが辛い箇所を中心に、そっと手を当てて優しく労わるように行いましょう。
強すぎる力でぐりぐりと押したり揉んだりすると、逆効果になるので要注意です。

好きなことをしてリラックスする

痛みを感じた時には、好きなことをして緊張をほぐしながら気を紛らわせるのもおすすめです。映画を見る・音楽を聴く・好きな香りのアロマを炊くなど、自分がリラックスできるものを選びましょう。家族や友達とのおしゃべりを楽しむのも良いかもしれません。
出産後はいつもよりも気が張りがちなので、体からのサインを見逃さずに、ゆっくり休める時間を持つことが大切です。セルフケアで痛みが緩和しない時は、処方された痛み止めを飲むようにしましょう。

後陣痛にまつわるよくある疑問

薬を手に取る女性
出産後の女性の半数以上にみられるといわれる後陣痛。辛い場合は医師に相談するのが一番です。後陣痛に関してよく聞かれる疑問について解説します。

予防はできる?

後陣痛は出産後の望ましい生理現象なので、予防方法はなく、誰にでも起こりうる症状です。しかし痛みにより不安や気分の落ち込みを感じる人もいます。パートナーや家族の理解や協力を得て、なるべく安静にして乗り越えられる環境を整えておきましょう。
後陣痛に対する治療は基本的に不要ですが、痛みが辛い場合は、病院に相談して受診の必要があるか聞いてみると良いかもしれません。
出産後の家事を楽にするには宅配がおすすめです。

薬は飲んでも良い?

後陣痛が辛い時は、お産をした病院に相談して、痛み止めを飲んでも良いか聞いてみましょう。病院で後陣痛と診断されたのであれば、授乳中に飲んでも問題のない鎮痛剤を処方してもらえます。
子宮収縮剤を内服している人は、子宮の回復が良好であれば中止となる場合もあります。

帝王切開でも後陣痛はあるの?

後陣痛に関しては自然分娩のケースと症状は変わりません。帝王切開による出産でも、妊娠中には子宮が大きくなり、出産後には子宮収縮が起こるので後陣痛がみられます。なお帝王切開では、後陣痛の痛みだけではなく、傷の痛みや手術による痛みである場合もあります。

後陣痛がいつまでも辛い!こんな時は病院へ

医師の診察を受ける女性
後陣痛は通常産後数日で治まってくるものですが、痛みがいつまでも続くようであれば、一度病院へ相談しましょう。産後の痛みの原因は後陣痛だけではなく、産褥子宮内膜炎や子宮筋層炎、帝王切開の傷口の感染など他の病気を引き起こしている場合もあります。
特に以下のような症状を伴っている場合は、速やかな受診が必要です。
<要注意な症状>
  • ピークの時期を過ぎたのに痛みが強まった
  • 強い痛みが数週間引かない
  • 38度以上の高熱が数日続いている
  • 強い吐き気や腹痛を伴っている
  • 悪露の量がいつもより極端に多い、もしくは少ない
  • 悪露の臭いが気になる
医師や助産師に話を聞いてもらうだけでも、緊張が解けて痛みが軽くなることもあります。

後陣痛をいつまでも長引かせないためにも産後の体をいたわって

赤ちゃんと一緒に寝るママ
後陣痛のピークは出産後数日です。痛みが強い場合は、なるべくリラックスして体をいたわることを優先しましょう。もし強い痛みが長く続くようであれば、他の病気の可能性もあるので、我慢せずに早めに医師に相談することも大切です。
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