【医師監修】悪露(おろ)はいつまで続く?時期や症状、回復を早める過ごし方を解説
監修:八丁堀さとうクリニック副院長 佐藤 杏月 先生

監修:八丁堀さとうクリニック副院長 佐藤 杏月 先生

日本医科大学卒。
日本医科大学武蔵小杉病院を中心に16年間産婦人科医として地域のハイリスク妊婦や、婦人科疾患の診療を行ってきた。

3人の子供の子育てと仕事の両立を目指し、整形外科医の主人とともに2020年八丁堀さとうクリニックを開業。

日本産婦人科学会専門医
医学博士

悪露はいつまで続くの?時間経過による色や量の変化

生理用品とカレンダー
出産の際に剥がれた内膜や胎盤、傷からの分泌物などを子宮から排出することを悪露と言い、産後1ヵ月から長くて2ヵ月ほど出血が続きます。出産で開いた子宮が収縮するにつれ、色や量に変化が見られます。時間経過による変化を見ていきましょう。

産後1~3日目:最も量が多い時期

産後1~3日目は悪露が非常に多く排出される時期です。組織の他にも血液が多く含まれているので、経血に似た赤色で鉄のような独特の匂いを発します。どろどろした形状で塊が出ることもあり、産褥パッドが手放せません。

産後4~8日目:中量期

産後4日〜8日は少しずつ排出量が減ってくる時期で、中量程度となります。悪露に混ざったヘモグロビンが変色することで色は濃い茶色(褐色)になり、粘り気の少ないさらさらした形状に変化するのが特徴です。産褥パッドから生理用ナプキンに移行する人もみられます。

産後9~14日目:少量期

産後2週間もすると子宮内膜の排出がほぼ終わり、次第に出血も止まってきます。悪露には白血球が多く含まれているので、黄色っぽいおりもののように変化します。この頃になると、生理用ナプキンやおりものシートで対応できるようになる人がほとんどです。

産後4週間頃:完了期

産後4週間頃には悪露の排出量がごくわずかになり、さらさらした白っぽいおりもののようになります。やがて悪露も完全に終了しますが、経過には個人差があります。
悪露の状態は1ヵ月健診での医師のチェック項目にも含まれているので、気になる症状があれば相談してみましょう。

いつまで安静にすべき?悪露が出る時期の過ごし方

悪露が見られる期間は産後の体が元の状態に戻っていく「産褥期」とも重なり、この時期はできるだけ安静にすることが大切です。体調の回復を早める過ごし方を紹介します。

産後2週間まで:体調回復を最優先に

ママの指を握る赤ちゃん
出産後は自然分娩なら5~6日、帝王切開の場合は7~10日ほど入院となります。退院後も2週間程度は体の回復を最優先にしましょう。
夜間授乳やお世話などで体力的にも精神的にも辛い時期ですが、基本的には赤ちゃんが見える場所でなるべく横になって過ごすことが大切です。産後のダメージが残った体で、重いものをもったり動き回ったりするのは良くありません。赤ちゃんのお世話も最低限にとどめ、できるだけ周りの人にフォローを頼みましょう。
こちらの記事では、産前・産後のママをサポートしてくれる「産後ドゥーラ」について紹介しています。

産後2~4週間:家の中でできることから始める

赤ちゃんを抱っこして台所に立つママ
産後2週間を過ぎると体力回復の兆しがみえますが、無理は禁物。体調と相談しながら、簡単な部屋の片付けや短時間でできる料理・洗濯など、家の中でできることから始めてみましょう。
昼夜問わず育児を行っているため、疲れを感じたらしっかり休憩を挟んで体を休めることが大切です。また疲れやすい外出はまだ控えた方が良いでしょう。体に負担をかけてしまうと悪露の悪化や体調不良を招いたり、骨盤に負担をかけて腰痛を引き起こしたりするおそれがあります。

産後5~8週間:少しずつ元の生活に戻り始める

ベビーカーを押して公園を散歩する夫婦
1ヵ月健診で経過が良好だったら、徐々に元の生活に戻る準備をします。赤ちゃんのお世話も本格的になってくるので各種サポートを利用しつつ、できることから始めましょう。気候が良い日にベビーカーで赤ちゃんとお散歩すれば、良い気分転換にもなります。ただし体が妊娠前の状態に戻るのは3ヵ月から1年ほどかかるので、まだまだ無理をしてはいけません。
一度は落ち着いていた悪露が再開することもありますが、2~3日でおさまれば過度に心配しなくて良いでしょう。もし腹痛を伴ったり、出血が続いたりするようであれば病院で相談することをおすすめします。

産後4週間くらいまでは入浴・運転は控えて

産後4週間くらいまでは、入浴・運転は控えた方が良いと言われています。
■入浴
悪露がおさまるまでは、湯船には浸からずシャワーで済ませるようにしましょう。会陰切開の傷や子宮口が閉じていない状態で湯船に浸かると、菌が体に入るおそれがあります。
■車の運転
産後すぐは運転席に座るだけで傷が痛んだり、集中力が続かなかったりします。病院へ行く時も自分で運転するのは控え、家族に運転を頼むかタクシーを利用するのがおすすめです。

悪露がいつまでもおさまらない…注意が必要な症状

病院で診察を受ける女性
出血以外に体の異変を感じたり、悪露の量や匂いに異変を感じたりした場合は、早めの受診をおすすめします。ここでは注意したい症状について解説します。

発熱・腹痛を伴う

発熱や腹痛がある場合は、出産時の傷などが原因で感染症を起こしている可能性があるので、早めに受診しましょう。また出産後2週間くらいまでは体温が高くなることはあるものの、2日以上にわたり38度近い熱が出るようなら注意が必要です。

悪露がおさまらない・量が急に増えた

産後2週間以上経っても赤色の悪露が続いている、急に量が増えたという時は、子宮復古が順調ではない可能性があります。通常、子宮が元の状態っていくにつれ、悪露の色は白っぽくなり量も減っていきます。
なかなか悪露がおさまらなかったり、量が急に増えたりする場合は、子宮内の遺残物や子宮筋腫などが原因で子宮の収縮がうまく行われていないことが考えられるので、病院でしっかり診察を受けましょう。

悪臭がある

悪露が生臭い匂いのような悪臭を発している場合は、細菌感染や膣炎を起こしている可能性があるので、すぐに受診した方が良いでしょう。膿のような悪露が出る場合も注意しなくてはいけません。他にも色や匂いで気になることがあれば、一度医師に相談してください。

悪露が出ない

極端に悪露が少ない、色が薄いといった場合も医師へ相談しておくと安心です。子宮内に悪露が停滞している可能性があり、放置すると子宮内感染の原因になり得えます。

悪露がいつまでも続いている時に摂りたい栄養素

まな板に乗ったたくさんの食材
悪露が続く時期は貧血になりやすいので、しっかり栄養を摂って体調回復の手助けをしましょう。この時期に積極的に摂りたい栄養素を紹介します。

鉄分

出産時の出血や悪露、授乳などにより、出産後は鉄分が不足しがちで貧血症状が起こりやすくなります。鉄分には血液を作る働きがあるため、いつもより意識的に摂ることが大切です。コーヒーや紅茶は、鉄分の吸収を妨げるおそれがあるのでなるべく控えるようにしましょう。
■鉄分を豊富に含む食材
レバー・カツオ・ひじき・小松菜・豆乳など
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タンパク質

人間の体を作るのに必須のタンパク質は、産後の体力回復に欠かせません。筋肉づくりにも役立ちます。動物性タンパク質と植物性タンパク質をバランス良く摂るのがコツです。
■タンパク質を豊富に含む食材
肉類・魚介類・卵・大豆製品など
つるっと食べやすい、コープの大豆まるごと豆腐はこちら

葉酸

葉酸は産後の貧血対策に役立つ栄養素です。ビタミンB群の一種で、赤血球の生成に関わるビタミンB12と協力して血液を作る働きをします。細胞分裂を促進させる効果も期待でき、子宮の回復を手助けするとも言われています。
■葉酸を豊富に含む食材
ほうれん草・ブロッコリーなどの緑黄色野菜、納豆、レバーなど
食べたい分だけサッと食べられる、コープの冷凍ブロッコリーはこちら

悪露がいつまでも辛い場合は適切な対処を

赤ちゃんを抱いて椅子に座るママ
産後1ヵ月ほどは体が元の状態に戻ろうとする時期で、悪露を含めさまざまな症状が現れます。体がしんどい時は安静にしていることを第一に考え、気になる症状があれば医師に相談するようにしましょう。辛い時は、体調回復に役立つ栄養もたっぷり摂るのがおすすめです。
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