【小児科医監修】子どもも花粉症になる!症状や対策、風邪との見分け方など疑問を解説

石井道人先生

北里大学医学部卒。東京都立多摩総合医療センターで救急医療、総合診療を学ぶ。2013年より北海道・喜茂別町で唯一の医療機関、喜茂別町立クリニックに管理者として赴任。乳幼児健診から看取りまで、町民二千人の健康管理を担う。2020年神奈川県横浜市にて開業。

医療法人ミチラテス 理事長
ファミリークリニックあざみ野 院長

日本プライマリ・ケア連合学会認定指導医/日本救急医学会認定救急科専門医/日本内科学会認定内科医
日本医師会認定健康スポーツ医/日本医師会認定認知症サポート医/キッズガーデンプレップスクール嘱託医

※本記事に関する監修医へのお問い合わせはお控えください

子どもでも花粉症になるの?

公園で赤ちゃんを抱っこするマスクをつけた女性
年々花粉症の発症は低年齢化していると言われていて、生まれたばかりの赤ちゃんでも花粉症になる可能性があります。まずは子どもの花粉症の傾向を見ていきましょう。

子どもの花粉症は増えている

子どもの花粉症は年々増加傾向にあります。「鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症-2023年版(改訂第10版)」によると、5〜9歳で30.1%、10〜19歳で49.5%の子どもがスギ花粉症であるとの結果でした。10〜19歳に至っては、全年代の中で最も多い割合です。
5〜9歳では3人に1人、10〜19歳では2人に1人がスギ花粉症という計算になるので、子どもの花粉症は決して珍しいものではありません。

何歳からでも花粉症は発症する 

花粉症は産まれたばかりの0歳でも発症します。まだ花粉に触れていなくとも、親や兄弟に何らかのアレルギーや喘息・鼻炎などがある場合は、赤ちゃんもアレルギーの素因を持っている可能性があります。
花粉症はとくに2歳ごろから発症する子が多く、年齢が上がるとともに発症する確率が増えていくので注意深く見守りましょう。

子どもの花粉症を放置することは厳禁

子どもの花粉症を放っておくと、滲出性中耳炎や喘息など他の病気に発展する可能性があるので、早めの受診が大切です。子どもの症状は鼻づまりが起きやすい上、鼻水も粘性があるので、大人より合併症を起こすリスクが高くなります。
また、子どもは辛い症状を自分で伝えることが難しいので、大人がよく観察してあげる必要があります。例えば、日中の集中力がなくなったり元気がなくなったりしている場合、鼻づまりが苦しくて夜に十分な睡眠がとれていないかもしれません。

子どもの花粉症の主な症状

ティッシュで鼻をかむ男の子
子どもの花粉症の場合、鼻水や鼻づまり、かゆみが起きやすいのが特徴です。子どもの花粉症の主な症状を紹介します。

鼻水・鼻づまり

子どもの花粉症の代表的な症状は、鼻水・鼻づまりです。子どもは鼻孔が小さいので、鼻水がつまりやすい状態にあります。鼻づまりによって鼻からの花粉の侵入が妨げられるため、くしゃみの回数はそれほど増えません。
大人の鼻水は透明のサラサラとしたものが一般的ですが、子どもの場合はドロっとした粘り気があるものが多く、呼吸がしにくくなることも特徴です。口をポカンと開けていることが増えたら要注意です。

かゆみ

目や皮膚にかゆみが出るのも、子どもの花粉症でよく見られる症状です。花粉症が疑われる場合、手で顔や目のあたりをこすっていないか注意深く見てあげましょう。子どもはかゆいところを遠慮なしにかいてしまうので、傷や湿疹になってしまっているおそれもあります。

子どもの花粉症を悪化させないための対策

子どもの花粉症を悪化させないためにも、外出時だけではなく、家の中でもなるべく花粉に触れないような工夫をすることが大切です。自分で行える花粉症対策を紹介します。

外ではマスク・メガネをする

屋外でマスクをする女の子
外出時はマスクやメガネを着用し、目や鼻から花粉が侵入するのを防ぎましょう。何の対策もしていない状態よりも体の中に入ってくる花粉の量を大きく減らせるので、辛い症状の軽減につながります。また、花粉の飛散量が多い予報の時は、なるべく外出自体を控えることも大切です。

家の中に花粉を持ち込まない

外から帰ってきたらすぐに着替え、手洗い・うがいをして家の中に花粉を持ち込まない工夫をしましょう。子どもは肌が弱いので、花粉がついた衣類に長く触れていると、花粉症皮膚炎を引き起こすこともあります。とくに花粉の多い2〜3月は洗濯物や布団などを外に干すのは控え、部屋干しにするのがおすすめです。

窓を開けるのは控えて空気清浄機をつける

花粉の飛散量が多い日、風の強い日などは、窓を開けるのはできる限り控え、空気清浄機をつけて心地よい空間を保ちましょう。あわせてこまめな掃除を心がけることで、家の中に侵入した花粉を取り除けます。

病院で薬を処方してもらう

シロップ薬と粉薬
なかなか症状が改善しない場合は、病院を受診しましょう。症状によって異なりますが、花粉症の治療は抗アレルギー剤の服用が基本です。一般的には鼻づまりを軽減する薬や、鼻水を抑える薬などが処方されます。目の症状がひどい時には、目薬が処方されることもあります。
治療を始めてから2週間ほどで効果が現れ始めるので、本格的な花粉症シーズンが始まる少し前から服用しておくと、症状をやわらげるための予防としても有効です。なお、子どもが薬を飲んだり点眼したりするのは難しいので、しっかりサポートしてあげましょう。また、大人用に処方された薬を飲ませるのは副作用の危険があるため、避けてください。

子どもの花粉症にまつわるQ&A

何科を受診すべき?花粉症は治るの?遺伝するの?といった花粉症に関するよくある疑問について解説します。正しく対策を行うためにもチェックしておきましょう。

病院は何科に行くべき?

病院で診察を受ける男の子
子どもの花粉症が疑われる時は、小児科か耳鼻科、目のかゆみが強い時は眼科を受診します。どの症状が強いかで選ぶのが基本ですが、迷ったらまずはかかりつけの小児科で相談しましょう。小児科なら、花粉以外のアレルギーや喘息なども含めて総合的に診てもらえます。アレルギーの専門医がいるとより良いですが、花粉症の診療は比較的容易なので、アレルギーの専門医の常駐は必須ではありません。

花粉症か風邪かはどうやって見極める?

目の周りを触る女の子
花粉症と風邪の症状はよく似ていますが、目や鼻の周りにかゆみがあるかが見極めるポイントです。頻繁に顔をこすっているといった様子が見られたら、花粉症である可能性が高いでしょう。咳や発熱、のどの痛みを伴う場合は風邪が疑われますが、くしゃみが増えるのは花粉症の特徴です。晴れた日や風が強い日など、花粉の飛散量が多い日は症状が現れやすいのでしっかり観察してあげましょう。
花粉症と間違えて、風邪であるのに鼻水を抑えるための抗アレルギー剤を使用すると、鼻水が固くなってより症状が悪化するおそれがあります。判断がつかなければ、迷わず受診することが大切です。

花粉症を治すことはできる?

花粉症は基本的に完治はせず、成長とともに自然治癒するといったことも期待できません。花粉の飛散時期に合わせて症状が出る前に薬を飲んだり、なるべく花粉を浴びない工夫をしたりして、症状が悪化しない対策を行うことが重要となります。
スギ花粉に関しては、最近では根治的な治療に近い免疫療法を行う例も増えてきているので、症状がひどい場合は医師に相談してみると良いでしょう。

鼻づまりで夜寝苦しい時はどうしたら良い?

夜に鼻づまりで子どもが寝苦しそうな時は、寝ている間に効果が出るよう就寝前に飲む薬を処方してもらうのがおすすめです。温めたタオルなどを使って鼻や首周りを温めたり、部屋を加湿したりするのも効果的。
さらに、姿勢を変えることで鼻が通りやすくなることもあります。鼻づまりがある方を上にして横向きになったり、枕などで頭を少し上げたりすると楽になりやすいでしょう。

花粉症って遺伝するの?

親が花粉症なら子どもも花粉症になる可能性はあります。しかし花粉症の発症は、体質よりも環境によるところが大きいのが事実。過度に清潔に保たれた生活環境や、スギ花粉への暴露、食生活やストレスなどの生活習慣といったさまざまな要因が重なって花粉症は発症します。

子どもの花粉症におすすめのコープ商品

木製の器に盛られたヨーグルト
食品で花粉症が治るわけではありませんが、腸内環境を整え免疫力を高めると、花粉症対策に有効であると言われています。
<乳酸菌>
乳酸菌を摂ることで腸内環境を良くして、腸から体内への花粉の侵入を防いだり、花粉症の症状をやわらげたりする効果があるとされます。
<食物繊維>
食物繊維は腸内環境を整えて腸の免疫機能をアップし、花粉症の症状をやわらげる効果が期待できます。
<カテキン>
カテキンにはアレルギーの抑制効果があるとされます。

子どもの花粉症は早めの対策が大事

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子どもに鼻づまり、目のかゆみなどの症状がみられたら、花粉症の可能性があります。花粉に触れないような対策をしてもなかなか治らない、症状が辛そうであるといった場合には、早めに病院で相談しましょう。完治は難しいものの、免疫力を高めると症状がやわらぐこともあるので、食生活なども見直してみるのがおすすめです。
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