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監修:八丁堀さとうクリニック副院長 佐藤 杏月 先生
ベビー服を水通しする3つの理由
水通しとは新品の衣類などを使用する前に水洗いをすることを言い、ベビー服に行う場合は特に赤ちゃんの肌を守るのが目的です。ベビー服の水通しが必要とされる3つの理由を解説します。
吸水性と着心地を良くする
水通しすると、新品の衣類についている糊(のり)が落ちるので、汗を吸いやすくなり着心地も良くなります。糊は衣類のシワや型崩れを防ぐものですが、糊が付いたままでは汗を吸収しにくく、代謝が良く大人以上に汗をかく赤ちゃんには良くありません。生地も柔らかくなるので、敏感な赤ちゃんの肌への負担も減らせます。
ホルムアルデヒドを落とす
衣類に付いたホルムアルデヒドも水通しで落とせます。ホルムアルデヒドは、シワ予防や防虫対策のために新品の衣類に使われます。現在では法規制によりベビー服からホルムアルデヒドは検出されなくなっていますが、袋に入れずに陳列されたものは他の衣類から移ってしまう可能性があるので注意が必要です。
ホルムアルデヒドには毒性があり、刺激に弱い赤ちゃんが高濃度のホルムアルデヒドを含む衣類に触れると、発疹などの皮膚障害やアレルギー症状を引き起こすおそれがあります。ホルムアルデヒドは水に溶けやすいので、安全のためにも水通しするのがおすすめです。
余分な染料を落とす
濃い色の衣類には染料が多く使われているので、余分な染料を落とすためにも水通しは効果的です。染料は赤ちゃんの肌への刺激となり得るので、なるべく落としておきたいもの。特にアトピー体質や敏感肌の赤ちゃんには、水洗いを徹底して刺激を減らしましょう。また余分な染料を落としておくと、次に洗濯する際に他の衣類への色移りも防げます。
水通ししたほうが良いもの・不要なもの
水通しした方が良いもの、気を付けたいものの基準を紹介します。基本的に赤ちゃんの肌に直接触れるものは、水通ししておきたいです。ですが、なかには不要なものや家庭では洗えないものもあるので、事前にチェックしておきましょう。
水通ししたほうが良いもの
水通しするアイテムに決まりはありませんが、赤ちゃんの肌に触れたり、口に入れたりする可能性がある布製品は一度水通しするのがおすすめです。
水通ししたい主なアイテムは次の通りです。
- ベビー服・肌着
- ベビーシーツ
- おくるみ
- ガーゼ・タオル
- 赤ちゃんの寝具
- ぬいぐるみ
- 抱っこ紐 など
あまり神経質にならず、できる範囲で行いましょう。
水通しが不要なもの・気を付けたいもの
パッケージなどに「水通し不要」と書かれていて、個装されている商品は水通しする必要はありません。
他にも家庭では洗濯できないものもあるので、洗濯表示タグの確認も忘れずに。洗濯表示を見ると家庭で洗えないもの、洗濯機で洗えるもの、手洗いが必要なものを区別できます。洗濯表示が付いていないぬいぐるみや布団などは、ホームページなどで洗濯方法をチェックしましょう。
水通しのやり方①手洗いの場合
洗濯機が使えないアイテムは、優しく手洗いしましょう。手洗いでの水通しの手順を紹介します。
1.必要なものを準備する
手洗いする場合は、次のものを準備します。
- 洗濯桶や洗面器・バケツ
- ベビーハンガーやピンチハンガー
使用する洗濯桶やハンガーなどは事前に汚れがないか確認し、きれいな状態で使いましょう。洗濯桶を使わず洗面所に水を張って洗う場合も、必ずきちんと清掃してから行うのが大切です。手洗いは水やぬるま湯だけでも十分ですが、衣類の汚れが気になる時はベビー用洗剤を用意する人もいます。
2.優しくもみ洗いする
まずは洗濯桶や洗面器に水もしくはぬるま湯、必要に応じてベビー用洗剤を入れます。その中に服など水通ししたいアイテムを入れて水に浸し、優しくもみ洗いします。肌着など紐がついたものは隅々まで水通しするために紐を解いて行いましょう。生地を傷めてしまうほどゴシゴシ洗う必要はありません。
3.しっかりすすいで乾かす
もみ洗いが終わったら流水ですすぎます。特に洗剤を使用した場合は、すすぎ残しがないようにしっかり行いましょう。すすぎ終わったら水気を絞り、シワにならないよう伸ばしてから形を整え、ハンガーにかけて良く乾かします。
手で絞る時のシワが気になるなら、脱水だけ洗濯機で行う方法もあります。その場合は型崩れを防ぐため、洗濯ネットに入れるのがポイントです。
水通しのやり方②洗濯機の場合
洗濯機が使える場合も、なるべく生地を傷めないコースを選びましょう。洗濯機での水通しの手順を紹介します。
1.事前準備をする
洗濯機を使う場合に必要なものは、以下の通りです。
- 洗濯ネット
- ベビーハンガーやピンチハンガー
必要なものを揃えたら、洗濯槽がきれいか確認しておきます。汚れが付いている時はもちろん、目に見えない汚れが溜まっている可能性もあるので、なるべく先に洗濯槽クリーナーなどを使い洗っておくのが理想です。洗濯機を使う場合も基本的に洗剤は不要ですが、衣類の汚れが気になるならばベビー用洗剤を使うと良いでしょう。
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2.生地に優しいコースで洗う
衣類の型崩れを防ぐためには、必ず洗濯ネットを使いましょう。複数枚を一度に水通しする時は、一枚ずつネットに入れるとより効果的です。肌着はまんべんなく水が通るように、紐を解いておきましょう。
衣類を洗濯機に入れたら、「ソフト洗い」「手洗い」「弱洗い」など、洗濯表示を参考に水流の弱いコースを選びます。柔軟剤は生まれたての赤ちゃんの肌には負担になるおそれがあるので、使用しません。
3.シワを伸ばして乾かす
脱水が終わったら洗濯機から取り出して、シワを伸ばしながら形を整えて干します。ベビー服には乾燥機を使わない方が無難です。乾燥により生地が傷んだり、縮んだりする可能性があります。
水通しに関するQ&A
最後に水通しをするタイミングや期間、保管方法といった水通しに関するよくある疑問にお答えします。
水通しをするタイミングは?
水通しをする時期やタイミングに決まりはありませんが、天気の良い日がおすすめです。衣類は濡れた状態だと雑菌がどんどん繁殖してしまいます。洗ったらすぐに天日干しするのが理想です。
外に干すのが難しい場合は室内干しでも良いですが、衣類同士の間隔を開ける、扇風機の風を当てるなど、できるだけ早く乾くように工夫をしましょう。
水通しはいつまでやるの?
水通しをやめる期間にも決まりはありません。目安の一つとして、ホルムアルデヒドの基準が厳しく設けられている生後24ヵ月までです。ただし期間にかかわらず、赤ちゃんに肌荒れや肌トラブルが見られたら、落ち着くまでは念のために水通しする方が良いでしょう。敏感肌の人など、大人になっても続けている人もいます。
洗った後の保管方法は?
ベビー服は、家族のものと分けて保管するのが望ましいです。せっかく水通ししても、ホルムアルデヒドは他の衣類から移る可能性があるからです。特に大人の服は、ホルムアルデヒドの規定が厳しくないので、赤ちゃん用の衣類よりも多く含まれている可能性があります。
赤ちゃん専用のベビータンスを用意するか、難しければ家族とはタンスの棚を分けると良いでしょう。ファスナー付きの保存袋に入れてから収納するとより安心です。
おさがりにも水通しが必要?
おさがりのベビー服も一度水通しをすると気持ちよく使えます。古い汚れが気になる場合は、40〜50℃位のお湯でつけ置きしてから、洗濯機で洗うのがおすすめ。お湯につけることで、洗浄力が上がり、汚れが落ちやすくなります。また黄ばみなどは、酵素系洗剤を使って浸け置きや煮洗いすると効果的です。
水通しして赤ちゃんに気持ちよく過ごしてもらおう
ベビー服は水通しをすることで、赤ちゃんの肌をさまざまな刺激から守り、着心地も良くできます。しかしやり方を間違うと生地を傷めてしまったり、かえって雑菌が増えてしまったりするので、事前の準備と確認が大切です。さっぱりときれいな服で、赤ちゃんに心地よく過ごしてもらいましょう。
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日本医科大学武蔵小杉病院を中心に16年間産婦人科医として地域のハイリスク妊婦や、婦人科疾患の診療を行ってきた。
3人の子供の子育てと仕事の両立を目指し、整形外科医の主人とともに2020年八丁堀さとうクリニックを開業。
日本産婦人科学会専門医
医学博士