
INDEX
- ベビー服を水通しする3つの理由
- ホルムアルデヒドを落とす
- 吸水性と着心地を良くする
- 余分な染料を落とす
- 水通ししたほうが良いもの・不要なもの
- 赤ちゃんが直接触れるもの
- 気を付けたいもの
- 水通しのやり方①手洗いの場合
- 1.必要なものを準備する
- 2.優しくもみ洗いする
- 3.しっかりすすいで乾かす
- 水通しのやり方②洗濯機の場合
- 1.事前準備をする
- 2.生地に優しいコースで洗う
- 3.シワを伸ばして乾かす
- ベビー服の水通しに使う洗濯洗剤の選び方
- 1. 洗剤のタイプで選ぶ
- 2. 洗剤の成分で選ぶ
- 水通しに関するQ&A
- 水通しをするタイミングは?
- 水通しはいつまでやるの?
- 大人の服と一緒に洗ってもいい?
- 水通しした後のベビー服はどう保管する?
- おさがりにも水通しが必要?
- 水通しして赤ちゃんに気持ちよく過ごしてもらおう

監修:八丁堀さとうクリニック副院長 佐藤 杏月 先生
ベビー服を水通しする3つの理由

水通しとは新品の衣類などを使用する前に水洗いをすることを言い、ベビー服に行う場合は特に赤ちゃんの肌を守るのが目的です。ベビー服の水通しが必要とされる3つの理由を解説します。
ホルムアルデヒドを落とす
衣類に付いたホルムアルデヒドは水通しで落とせます。ホルムアルデヒドは、シワ予防や防虫対策のために新品の衣類に使われます。現在では法規制によりベビー服からホルムアルデヒドはほとんど検出されなくなっていますが、微量が含まれている可能性があります。また、袋に入れずに陳列されたものは他の衣類からホルムアルデヒドが移ることがあるので注意が必要です。
ホルムアルデヒドには毒性があり、刺激に弱い赤ちゃんが高濃度のホルムアルデヒドを含む衣類に触れると、発疹などの皮膚障害やアレルギー症状を引き起こすおそれがあります。ホルムアルデヒドは水に溶けやすいので、安全のためにも水通しするのがおすすめです。
吸水性と着心地を良くする

水通しすると、新品の衣類に付いている糊(のり)が落ちるので、汗を吸いやすくなり着心地も良くなります。糊は衣類のシワや型崩れを防ぐものですが、糊が付いたままでは汗を吸収しにくく、代謝が良く大人以上に汗をかく赤ちゃんには良くありません。生地も柔らかくなるので、敏感な赤ちゃんの肌への負担も減らせます。
余分な染料を落とす

濃い色の衣類には染料が多く使われているので、余分な染料を落とすためにも水通しは効果的です。染料は赤ちゃんの肌への刺激となり得るので、なるべく落としておきたいもの。特にアトピー体質や敏感肌の赤ちゃんには、水洗いを徹底して刺激を減らしましょう。また余分な染料を落としておくと、次に洗濯する際に他の衣類への色移りも防げます。
水通ししたほうが良いもの・不要なもの
赤ちゃんに直接触れるものは水通しをしておきたいですが、なかには家庭では洗えないものもあります。水通しをする際には洗濯表示を確認しておきましょう。
赤ちゃんが直接触れるもの

水通しするアイテムに決まりはありませんが、赤ちゃんの肌に触れたり、口に入れたりする可能性がある布製品は一度水通しするのがおすすめです。
水通ししたい主なアイテムは次の通りです。
- ベビー服・肌着
- ベビーシーツ
- おくるみ
- ガーゼ・タオル
- 赤ちゃんの寝具
- ぬいぐるみ
- 抱っこ紐 など
あまり神経質にならず、できる範囲で行いましょう。
気を付けたいもの

家庭では洗濯できないものもあるので、忘れずに洗濯表示タグを確認しましょう。洗濯表示を見ると家庭で洗えないもの、洗濯機で洗えるもの、手洗いが必要なものを区別できます。洗濯表示が付いていないぬいぐるみや布団などは、ホームページなどで洗濯方法をチェック。なおパッケージなどに「水通し不要」と書かれていて、個装されている商品は水通しする必要はありません。
水通しのやり方①手洗いの場合

洗濯機が使えないアイテムは、優しく手洗いしましょう。手洗いでの水通しの手順を紹介します。
1.必要なものを準備する
手洗いする場合は、次のものを準備します。
- 洗濯桶や洗面器・バケツ
- ベビーハンガーやピンチハンガー
使用する洗濯桶やハンガーなどは事前に汚れがないか確認し、きれいな状態で使いましょう。洗濯桶を使わず洗面所に水を張って洗う場合も、必ずきちんと清掃してから行うのが大切です。手洗いは水やぬるま湯だけでも十分ですが、衣類の汚れが気になる時はベビー用洗剤を使用する人もいます。
2.優しくもみ洗いする
まずは洗濯桶や洗面器に水もしくはぬるま湯、必要に応じてベビー用洗剤を入れます。その中に服など水通ししたい衣類を入れて水に浸し、優しくもみ洗いをします。肌着など紐がついたものは隅々まで水通しするために紐を解いて行いましょう。生地を傷めてしまうほどゴシゴシ洗う必要はありません。
3.しっかりすすいで乾かす
もみ洗いが終わったら流水ですすぎます。特に洗剤を使用した場合は、すすぎ残しがないようにしっかり行いましょう。すすぎ終わったら水気を絞り、シワにならないよう伸ばしてから形を整え、ハンガーにかけてよく乾かします。
手で絞る時のシワが気になるなら、脱水だけ洗濯機で行う方法もあります。その場合は型崩れを防ぐため、洗濯ネットに入れるのがポイントです。
水通しのやり方②洗濯機の場合

洗濯機が使える場合も、なるべく生地を傷めないコースを選びましょう。洗濯機での水通しの手順を紹介します。
1.事前準備をする
洗濯機を使う場合に必要なものは、以下の通りです。
- 洗濯ネット
- ベビーハンガーやピンチハンガー
必要なものを揃えたら、洗濯槽がきれいか確認しておきます。汚れが付いている時はもちろん、目に見えない汚れが溜まっている可能性もあるので、なるべく先に洗濯槽クリーナーなどを使い洗っておくのが理想です。洗濯機を使う場合も基本的に洗剤は不要ですが、衣類の汚れが気になるならばベビー用洗剤を使うと良いでしょう。
2.生地に優しいコースで洗う
衣類の型崩れを防ぐためには、必ず洗濯ネットを使いましょう。複数枚を一度に水通しする時は、一枚ずつネットに入れるとより効果的です。肌着はまんべんなく水が通るように、紐を解いておきましょう。
衣類を洗濯機に入れたら、「ソフト洗い」「手洗い」「弱洗い」など、洗濯表示を参考に水流の弱いコースを選びます。柔軟剤は生まれたての赤ちゃんの肌には負担になるおそれがあるので、使用しません。
3.シワを伸ばして乾かす
脱水が終わったら洗濯機から取り出して、シワを伸ばしながら形を整えて干します。ベビー服には乾燥機を使わない方が無難です。乾燥により生地が傷んだり、縮んだりする可能性があります。
ベビー服の水通しに使う洗濯洗剤の選び方

基本的に水通しで洗剤は不要ですが、汚れが気になる場合など必要に応じて洗剤を使うと良いでしょう。赤ちゃんの肌に触れるものなので、刺激にならない洗剤を選ぶのがポイントです。
1. 洗剤のタイプで選ぶ
洗濯洗剤は、液体・粉末・ジェルボールの3つのタイプに大別されます。それぞれの特徴に応じて選びましょう。
①水に溶けやすい「液体タイプ」
冷たい水でも溶けやすく、すすぎが1回のタイプもあるため節水や時短にもなります。衣類に付いた洗剤の溶け残りによる肌トラブルを防げるため、赤ちゃんの肌に対するリスクが低いのも魅力です。ドラム式洗濯機との相性は良いですが、洗浄力がマイルドなため、頑固な汚れは落ちにくい場合があります。
ベビー服にも使えるコープの洗剤はこちら
②洗浄力が高い「粉末タイプ」
粉末タイプの多くはアルカリ性のため、酸性である食べこぼしや皮脂、汗の汚れを中和し落とせます。雑菌効果のある酵素や漂白剤が配合された製品が多いのも魅力です。ただし液体タイプに比べて溶け残りしやすいため、先に洗剤を溶かす、2回すすぐなど、衣類に洗剤が残らない工夫をする必要があります。
③手軽に使える「ジェルボールタイプ」
洗剤の量が決まっているため、洗濯物の量に関係なく手軽に使えますが、量を調節できないためコスパは良くありません。
2. 洗剤の成分で選ぶ
洗濯用洗剤の成分は、洗濯用石けんと合成洗剤の2つに分けられます。赤ちゃんの肌に直接触れる衣類を洗う際には、刺激の少ない成分の洗剤を選びましょう。
①肌や自然環境に優しい「洗濯用石けん」
石油系界面活性剤を含まないため、肌に優しく赤ちゃん用におすすめの洗剤です。洗濯石けんには液体タイプ、粉末タイプ、固形タイプの3タイプがあります。固形タイプには蛍光剤入りのものもあるため、購入の際には確認しましょう。
②汚れが落ちやすい「合成洗剤」
合成界面活性剤が使われている洗剤です。洗浄力が強く頑固な汚れも落としてくれる反面、肌への刺激が強いのが特徴です。合成洗剤には、蛍光増白剤、漂白剤、香料なども含まれている製品が多いため、使用する際には丁寧にすすぎを行いましょう。
水通しに関するQ&A
最後に水通しをするタイミングや期間、保管方法など水通しに関するよくある疑問にお答えします。
水通しをするタイミングは?

水通しをする時期やタイミングに決まりはありませんが、天気の良い日がおすすめです。衣類は濡れた状態だと雑菌がどんどん繁殖してしまうので、洗ったらすぐに天日干しするのが理想です。
外に干すのが難しい場合は室内干しでも良いですが、衣類同士の間隔を開ける、扇風機の風を当てるなど、できるだけ早く乾くように工夫をしましょう。
水通しはいつまでやるの?
水通しをやめる期間にも決まりはありません。目安の一つとして、ホルムアルデヒドの基準が厳しく設けられている生後24ヵ月までです。ただし期間にかかわらず、赤ちゃんに肌荒れや肌トラブルが見られたら、落ち着くまでは念のために水通しする方が良いでしょう。敏感肌の人など、大人になっても続けている人もいます。
大人の服と一緒に洗ってもいい?
ベビー服と大人の服を一緒に洗うのはおすすめできません。ベビー服と大人の服では規制が異なるため、化学成分が使われている場合があります。また一般的な洗剤では、赤ちゃんの肌に刺激となる成分が配合されている場合もあり、肌荒れの原因となることも。トラブルを避けるためにも、ベビー服専用の洗剤を使い、大人の服と分けて洗うのが良いでしょう。
水通しした後のベビー服はどう保管する?

ベビー服は、家族のものと分けて保管するのが望ましいです。せっかく水通ししても、ホルムアルデヒドは他の衣類から移る可能性があります。ベビー服と大人の服とではホルムアルデヒドの規定が異なるため、大人の服はベビー服よりも多く含まれている可能性があります。
赤ちゃん専用のベビータンスを用意するか、難しければ家族とはタンスの棚を分けると良いでしょう。ファスナー付きの保存袋に入れてから収納するとより安心です。
おさがりにも水通しが必要?
おさがりのベビー服も一度水通しをすると気持ちよく使えます。古い汚れが気になる場合は、40〜50℃位のお湯でつけ置きしてから、洗濯機で洗うのがおすすめ。お湯につけることで、洗浄力が上がり、汚れが落ちやすくなります。また黄ばみなどは、酵素系洗剤を使ってつけ置きや煮洗いすると効果的です。
水通しして赤ちゃんに気持ちよく過ごしてもらおう

ベビー服は水通しをすることで、赤ちゃんの肌をさまざまな刺激から守り、着心地もよくできます。ですがやり方を間違うと生地を傷めてしまったり、かえって雑菌が増えてしまったりするので、事前の準備と確認が大切です。さっぱりときれいな服で、赤ちゃんに心地よく過ごしてもらいましょう。
宮城・福島のコープ宅配はこちら
日本医科大学武蔵小杉病院を中心に16年間産婦人科医として地域のハイリスク妊婦や、婦人科疾患の診療を行ってきた。
3人の子供の子育てと仕事の両立を目指し、整形外科医の主人とともに2020年八丁堀さとうクリニックを開業。
日本産婦人科学会専門医
医学博士