【歯科医監修】おしゃぶりすると歯並びが悪くなる?気になる影響、疑問を解説
監修:石 梨麗先生

監修:石 梨麗先生

松本歯科大学卒業後、福岡県にて臨床研修終了
湘南美容歯科 心斎橋院、名古屋院で勤務
ルアナファミリー歯科・矯正歯科 副院長就任

日本小児歯科学会
日本歯科審美学会
Invisalign 認定医
歯科食育アドバイザー
赤ちゃん歯科ネットワーク

おしゃぶりは歯並びに影響する?

おしゃぶりを持つ赤ちゃんの手
おしゃぶりは、指しゃぶり防止やぐずり防止のために普及していますが、なかには歯並びへの影響を心配する声もあります。まずは、おしゃぶりが歯並びに与える影響について見ていきましょう。

1歳6ヵ月までは歯並びに影響しない

0歳代の赤ちゃんはおしゃぶりを使っても、歯並びに影響は出ないと言われています。おしゃぶりによる影響が出始めるのは、乳歯が生えはじめる1歳6ヵ月過ぎから。ただし、必ずしもおしゃぶりが歯並びに影響を与えるわけではありません。
歯並びへの影響が心配されるのは、1歳6ヵ月を過ぎても1日中おしゃぶりを手放せない赤ちゃんの場合です。一般には、乳歯が生え揃う2歳6ヵ月頃まではおしゃぶりが歯並びに影響することは少ないと言われています。

2歳すぎて長時間使うと影響が出やすくなる

2歳を過ぎて長時間使い続けると、歯並びや噛み合わせに影響が出ることもあります。2歳過ぎた赤ちゃんは吸う力が強くなり、おしゃぶりを噛むことも。おしゃぶりを噛むことで歯に圧力がかかり、出っ歯になったり、上下の前歯に隙間(開咬:かいこう)ができたりといった影響が出やすくなります。影響の度合いは、噛む力やおしゃぶりの吸い方、吸っている時間などによって異なります。

おしゃぶりのメリット・デメリット

泣き止まない赤ちゃん
おしゃぶりは赤ちゃんに安心感を与えるなど、お母さんにとっても助かるアイテムです。その一方で歯並びや噛み合わせに影響する可能性もあります。おしゃぶりのメリット・デメリットを紹介します。

【メリット①】口周りの筋肉の成長を促す

おしゃぶりを使うことで、口の周りの筋肉である口輪筋(こうりんきん)が鍛えられます。口輪筋を鍛えると、口の開け閉めが上手にできるようになるだけではなく、噛む力が強くなり、食べ物をしっかり噛んで食べる、聞き取りやすい発音ができるなどのメリットがあります。

【メリット②】赤ちゃんが安心する

赤ちゃんはおしゃぶりをすることで、おっぱいを吸っている時のような安心感が得られます。そのため、ぐずった時におしゃぶりを使うと泣き止む赤ちゃんもいるようです。なにをしても泣き止まない時や夜泣きがひどい時は、お母さんが疲れてしまわないようにおしゃぶりを利用するのも方法のひとつです。

【デメリット①】歯並びや噛み合わせに影響する可能性がある

前述のように、おしゃぶりを使うことで、歯並びや噛み合わせに影響する可能性があります。ただし、おしゃぶりを使ったからと言ってすべての赤ちゃんに影響が出るわけではありません。影響の度合いは、おしゃぶりを使う期間や使っている時間、吸い方など赤ちゃんによって異なります。また、影響が出るのは、乳歯が生え揃いおしゃぶりを噛むようになってからのため、乳歯が生え揃う2歳半以降はおしゃぶりから卒業させるようにしましょう。

【デメリット②】おっぱいを嫌がるようになる可能性もある

早くからおしゃぶりを使うことで、乳頭混乱を起こす可能性があります。乳頭混乱とは、赤ちゃんが人工乳首に慣れることで哺乳瓶を好み、おっぱいからの母乳を嫌がること。おしゃぶりを使うのは、少なくとも生後1ヵ月経って母乳をしっかり飲めるようになってからが良いでしょう。

【デメリット③】衛生面で問題になりやすい

おしゃぶりは消毒していても、長時間使っていると菌が繁殖する可能性も。繁殖した菌が原因となり、小児喘息や下痢を引き起こす恐れもあります。おしゃぶりは赤ちゃんが口にくわえるものなので、こまめな消毒が必須です。消毒する際はおしゃぶりの素材を確認しましょう。天然ゴムのおしゃぶりは「熱湯や薬液にさらさない」といった注意事項が明記されているものもあります。スペアを用意しておけば、洗い替えや外出先で落とした時にも困らず便利です。

歯並びに影響しないおしゃぶりの上手な使い方

おしゃぶりをくわえて寝る赤ちゃん
おしゃぶりには歯並びに影響が出る可能性もありますが、上手に使えば赤ちゃんに安心感を与えたり、口の周りの筋肉を鍛えたりといったメリットもあります。

タイミングを決めて使う

夜泣きが激しい時や何をしても泣き止まない時、外出時など、タイミングを決めておしゃぶりを使うのもひとつの方法です。おしゃぶりを与えると赤ちゃんの機嫌が良くなるからといって、いつでも使ってしまうと赤ちゃんが泣いている本当の理由が分からなくなってしまいます。タイミングを決めて使うようにしましょう。

乳歯が生えそろう前に使うのをやめる

おしゃぶりを使用するのは、乳歯が生え揃う2歳6ヵ月ころまでにしましょう。乳歯が生え揃う年齢までおしゃぶりを使い続けると、前歯の上下が噛みあわずに隙間ができる開咬(かいこう)や受け口、上の歯が突きだした出っ歯などの症状を引き起こす可能性があります。また、常におしゃぶりを離せなくなると、声を出す機会が少なくなるため話すのが遅くなるとも言われています。ぐずり対策としてのおしゃぶりに頼り過ぎず、赤ちゃんとの触れ合いの時間も大切にしてください。

赤ちゃんの月齢や成長に合わせておしゃぶりを選ぶ

おしゃぶりを与える際には、赤ちゃんの月齢や成長に合ったサイズを選ぶことも大切です。おしゃぶりは、メーカーによって形や弾力、サイズなどさまざまなサイズがあります。口の大きさや歯が生える時期は赤ちゃんによって違うため、時期の違いも考慮して選びましょう。

歯並びに影響しないおしゃぶりの選び方

お母さんに抱っこされるおしゃぶりをした赤ちゃん
最後に、おしゃぶりの選び方と注意点を紹介します。おしゃぶりには、形や弾力、サイズなどさまざまな種類があります。赤ちゃんの月齢や成長に合わせ、おしゃぶりを選びましょう。

対象の月齢から選ぶ

一番大切なのは、赤ちゃんの月齢に合ったおしゃぶりを選ぶことです。おしゃぶりには、小さい口でも吸いやすい新生児用、発達し始めたあごや吸う力に合わせた3~6ヵ月用、ニップルが大きく硬めの6~18ヵ月用など月齢に合ったタイプがあります。
おしゃぶりのパッケージに、新生児~6ヵ月用、6ヵ月~1歳用またはS・M・Lといったサイズが記載されているため、おしゃぶり購入時に、パッケージに記載されている対象の月齢を必ず確認するようにしてください。

素材で選ぶ

おしゃぶりの加える部分(ニップル)の素材は、主にシリコーン製と天然ゴム製の2つに分かれます。それぞれの特徴を考慮して選びましょう。
<シリコーン製>
  • 哺乳瓶のニップルと同じ素材
  • 形や大きさ、種類が豊富で、赤ちゃんの月齢や吸う力に合ったものが選びやすい
  • いろいろな消毒方法に対応(煮沸、薬液、電子レンジなど)
<天然ゴム製>
  • シリコーン製よりもやわらかいのが特徴
  • 吸う力の弱い赤ちゃんや、新生児から使えるものも
  • 赤ちゃんによっては天然ゴムのにおいを嫌がることも
  • 熱を加えすぎるとゴムが変形することも。消毒には注意が必要

形やサポート機能で選ぶ

赤ちゃんに合わせて、くわえやすいニップルの形を選びましょう。一般的なニップルの形を紹介します。
<丸形>
哺乳瓶をよく使う赤ちゃんにおすすめの形。お母さんの乳首に似た形状で比較的くわえやすいですが、吸う力が弱い赤ちゃんには使いづらいこともあります。使い慣れた哺乳瓶と同じメーカーのおしゃぶりを選ぶと良いでしょう。
<平型>
平型は丸い形をつぶした平たい楕円形のニップルです。赤ちゃんがお母さんのおっぱいを飲むときの乳首の形に似せて作られています。赤ちゃんの小さな口にもフィットしやすく、吸う力が弱い赤ちゃんでもくわえやすいのが特徴。
<マウスピース型>
マウスピース型は、出っ歯になりにくい形状として設計されています。噛み合わせが気になる・鼻呼吸ができないなどの悩みがある場合におすすめです。

歯並びに影響しない範囲でおしゃぶりを上手に活用しよう

お母さんに抱っこされる赤ちゃん
おしゃぶりを使うことで赤ちゃんの口の周りの筋肉を鍛えたり、安心感を与えたりといったメリットがある一方、歯並びや噛み合わせの影響が出る可能性もあります。大切なことは赤ちゃんに合ったおしゃぶりを選び、タイミングを決めて使うこと。赤ちゃんとの触れ合いを大切にしながら、おしゃぶりを上手に活用しましょう。
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