【栄養士監修】妊婦さんにおすすめ&控えたい食べ物を紹介。つわりでも食べやすい食材も
監修者:管理栄養士 池上 淳子

監修者:管理栄養士 池上 淳子

美容栄養学専門士資格認定講座の運営、スポーツ栄養、高齢者・子ども向け栄養学、生活習慣病予防など栄養学全般の啓蒙活動を行う。セミナー、料理教室、栄養監修、各種メディア出演など活動は多岐に渡る。栄養コンサルタント社代表、日本ビューティーヘルス協会会長
【著書】
最高の美をつくる朝食メソッド(ビジネス社)
美女をつくる足し算レシピ30(あたま出版)

【栄養・効果別】妊婦さんが摂りたい食べ物

ブロッコリーやセロリなどの緑黄色野菜
妊婦さんはおなかの赤ちゃんの成長や産後の授乳のために、食事を意識して摂らなければいけません。赤ちゃんがお母さんの栄養を貰うのは妊娠5ヵ月頃からと言われています。妊娠5ヵ月を過ぎたら、摂る食べ物に気を付けたり、必要な栄養素を摂取したりするようにしましょう。

緑黄色野菜に含まれる葉酸

細胞分裂に必要な葉酸は、妊娠初期に摂ることで赤ちゃんの発育を助けてくれる栄養素です。また、神経管の先天異常を引き起こすリスクを抑える効果があるともいわれています。
神経管閉鎖障害の原因のひとつとして強く関連しているのは、栄養因子の葉酸不足です。妊娠4週前から妊娠12週までの間、1日に葉酸サプリメントを400~4,000マイクログラム摂取すると、その発生リスクを40〜70パーセント抑えるとされています。
そのため、妊娠前から食事に摂り入れるのはもちろん、妊娠した後も毎日摂りたい栄養素といえます。つわりがひどく食事がとれない時は、葉酸サプリを利用する方法もありますが、摂り過ぎには注意が必要です。成人女性の葉酸摂取量は1日240マイクログラムで、妊婦さんの場合でも1日480マイクログラムが目安となっています。
■葉酸を多く含む食材
ブロッコリー、小松菜、ほうれん草、モロヘイヤ、納豆、レバーなど

骨や歯を作るカルシウム

おなかの赤ちゃんが成長するためには、骨や歯を作るカルシウムも必要です。食事で十分に摂取できないと、お母さんの骨からカルシウムが摂られてしまいます。
特に日本人は慢性的なカルシウム不足といわれているため、骨粗しょう症のリスクが高まることも考えられます。カルシウムの1日の摂取目安量は650ミリグラムで、上限は2,500ミリグラムです。過剰に摂る必要はありませんが、毎日規定量は摂りたい栄養素です。
■カルシウムを多く含む食材
牛乳、ヨーグルト、木綿豆腐、ししゃも、しらす、小松菜など

妊婦さんが摂取量に気を付けたい食べ物や成分

イワシのマリネ
妊婦さんが、摂りすぎに気を付けなければいけない食べ物があります。少しであれば問題はありませんが、摂りすぎると赤ちゃんの発達に影響があるかもしれません。ここでは、取る量に気を付けたい食べ物を紹介します。

水銀を多く含む魚

水銀を多く含む魚を妊婦さんが大量に摂取すると、おなかの赤ちゃんに影響を与えるといわれています。
魚には、微量の水銀が含まれていますが、健康に害を及ぼすものではありません。しかし、食物連鎖を通じて、他の魚介類より水銀濃度が高い魚もあります。厚生労働省では、魚の種類別に妊婦さんの摂取量目安を定めているので、食べ過ぎたり、偏った食べ方をしたりしないようバランス良く摂取しましょう。
■水銀量が多く注意した方が良い魚
クロマグロ(本マグロ)、キンメダイ、メカジキなど
■特に問題ではない魚
ツナ缶、サバ、アジ、イワシ、サンマなど

ヨウ素を多く含む昆布

甲状腺ホルモンの主原料となるヨウ素の摂り過ぎは、赤ちゃんの甲状腺機能低下につながるといわれています。ヨウ素は海藻類に多く含まれていますが、なかでも昆布は群を抜いた含有量です。日本食ではダシを摂るために良く使われる食材のため、煮干しやカツオ節などで代用するなど工夫をしましょう。

ヒ素を多く含むひじき

ひじきには食物繊維が多く含まれているので、便秘になりやすい妊婦さんは積極的に摂りたい食材のひとつです。しかし、ヒ素も多く含まれているため、ひじきの摂り過ぎは健康被害を起こす可能性があります。
農林水産省の調査では、乾燥ひじきの無機ヒ素は「水戻し」で5割程度、直接ゆでる「ゆで戻し」で8割程度減らせることがわかりました。水戻し後にさらにゆでる「ゆでこぼし」を行うと9割程度までヒ素が減少します。
妊娠中は、乾燥ひじき5グラムを1回の量とし、週2回までを目安に下ごしらえをしたひじきを食べると良いでしょう。

カフェインを含むコーヒー

妊婦さんがカフェインを摂り過ぎると、低体重児など胎児の発育に影響を与え、将来の健康リスクが高まる可能性があるといわれています。また、紅茶や緑茶にも含まれているため、1日に飲む量や濃さに注意しましょう。
1日のカフェインの摂取量は200ミリグラムで、コーヒーなら1〜2杯、紅茶で2〜3杯、緑茶で3〜4杯が目安です。

妊婦さんが気を付けたい食べ物・飲み物

アルコールを断る妊婦
それまで何気なく食べていた物や飲み物でも、赤ちゃんにとっては悪い影響を与えてしまう可能性もあります。ここでは、妊婦さんが控えた方が良い食べ物・飲み物を紹介します。

影響を与える恐れがあるアルコール

アルコール摂取は、赤ちゃんの発達遅延や胎児性アルコール症候群、先天性疾患などを発症する可能性を高めるため、妊娠が分かった時から卒乳するまでの期間は控えるようにしましょう。
赤ちゃんにとって良くない成分は、胎盤のフィルターによって送られないようになっています。しかし、アルコールはフィルターを通過してしまうため、胎盤へ届き赤ちゃんに悪影響を与える可能性が高まります。また、妊娠2週目までの過度なアルコール摂取は、自然流産の確率が高くなるともいわれているので注意が必要です。

食中毒を引き起こす可能性が高い食べ物

食中毒により下痢や嘔吐で脱水症状になると、子宮収縮を引き起こす可能性があります。また、赤ちゃんへの影響もあるため、妊娠中に服用できる薬も限られています。腸炎ビブリオ菌を感染させる生魚やノロウイルスが多い二枚貝、サルモネラ菌を感染させる生卵の殻など、食中毒の危険性が高い食べ物は避けましょう。

寄生虫を含んでいる可能性のある食べ物

生の肉類などにみられるトキソプラズマという寄生虫は、胎盤を介して赤ちゃんにも感染するため、先天性トキソプラズマ症になる可能性が高くなります。未熟児や子宮内胎児発育不全、黄疸、心筋炎、肺炎、肝脾腫などを引き起こすため、肉類にはしっかりと火を通して食べるようにしましょう。

妊婦さんのマイナートラブル対策ができる食べ物

料理している妊婦
マイナートラブルとは、妊娠に伴っておこる吐き気や嘔吐、食欲不振、頭痛などのさまざまな不快な症状のことです。ここでは、マイナートラブルの症状を改善してくれる食べ物を紹介します。

【貧血予防】鉄分を多く含む食べ物

貧血の改善には鉄分を多く含む小松菜やあさり、牛肉などの食材がおすすめです。また、葉酸サプリも改善効果が期待できます。鉄分だけを摂取しても吸収率が悪いため、ビタミンCと一緒に摂り吸収率を高めましょう。1日の鉄分摂取量の目安は、妊娠初期で9.0ミリグラム、妊娠中期〜後期で16ミリグラムです。
■鉄分を多く含む食材
あさり、かつお、小松菜、ほうれん草、切り干し大根、大豆、納豆、赤身の肉、レバーなど
■ビタミンCを多く含む食材
パプリカ、芽キャベツ、レモンなど
■ビタミンB12を多く含む食材
レバー、しじみ、牡蠣、はまぐりなど

【便秘の改善】食物繊維や乳酸菌を多く含む食べ物

便秘の改善には、食物繊維で便の量を増やし、乳酸菌で腸内環境を整えるのが効果的。さらに、乳酸菌のエサとなるオリゴ糖を一緒に摂るとより効果が期待できます。食物繊維が多く含まれる野菜や果物を積極的に摂りましょう。食物繊維の1日の摂取量は18グラム以上を目標にしてください。
■食物繊維を多く含む食材
押し麦、おから、野菜果物全般など
■乳酸菌を多く含む食材
ヨーグルト、味噌、漬物、チーズなど

【むくみ解消】カリウムを多く含む食べ物

むくみの解消には、体に溜まった余分な水分や塩分を体外に排出してくれる、カリウムを多く含んだ食べ物がおすすめです。また、塩分を摂り過ぎると体に余分な水分を蓄えるようになります。むくみにもつながるため、塩分の摂り過ぎは控えましょう。
■カリウムを多く含む食材
海藻類、野菜類、豆類、イモ類、果物類など

【つわり】消化の良い食べ物やエネルギー源となる食べ物

つわりで吐き気が強い時は、消化しやすくエネルギー源となる食べ物がおすすめ。また、油が多く使われたものは消化に悪いため、避けた方が無難です。喉越しが良く、あっさりとした味付けのそうめんやうどんなどが食べやすいでしょう。
しかし、食べたい物がないのに、無理に食べる必要はありません。食べたい物を食べられる時に摂るようにして、ストレスのない食事をすることが大切です。ただし、脱水症状にならないように水分補給は忘れずにしてください。
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毎日の食事に妊婦さんにおすすめの食べ物を摂り入れよう

牛乳を飲む妊婦
妊娠前は気にしていなかった食べ物でも、妊娠中は気を付けた方が良いものもあります。また妊娠中に食べて良い物でも、摂取量に気を付けた方が良い物もあります。自分の食べた物が赤ちゃんに影響を与えると思うと、食生活を見直すきっかけとなるのではないでしょうか。食生活を見直して、自分と赤ちゃんのために良い食事を摂りましょう。

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