【産婦人科医監修】妊婦は温泉に入っても大丈夫?妊娠中の温泉の効果や注意点を紹介
監修:丸山真理子先生

監修:丸山真理子先生

EASE女性のクリニック 院長
産婦人科専門医・マンモグラフィ読影認定医
日本女性財団フェムシップドクター

関西医科大学卒業、横浜市立大学産婦人科学講座・関連病院勤務を経て, 2019年EASE女性のクリニック開院
2022年 イーズファミリークリニック本八幡/イーズ病児・病後児保育室開設
2023年 第6回産前産後ケア・子育て支援学会実行委員長
2023年10月 骨盤底ケアサロンSalon de EASE開設
一般財団法人 日本女性財団フェムシップドクターとしても活動中

※本記事に関する監修医への問い合わせはお控えください

妊婦でも温泉に入れるの?

温泉に入る女性
現代では、妊娠中でも温泉に入って問題ないとされています。以前は戦前に制定された温泉法によって妊娠中に温泉に入ることは禁忌とされていましたが、2014年に温泉法が見直された後、2020年に一般社団法人日本温泉気候物理医学会が行った調査の結果から妊娠中の温泉入浴と産科的トラブルは関係がないことが判明しました。
環境省がまとめた「あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは」でも、妊婦が温泉に入ることは問題ないと記されています。

【時期別】妊婦が温泉に入る際の対応

お腹の前でハートを持つ妊婦
妊娠中でも温泉に入れます。温泉や旅行に行く際には、母子健康手帳を必ず持っていきましょう。また、移動中は血栓症に注意し、水分補給を欠かさないようにしましょう。妊娠中は体調が変わりやすいため、体調に不安が無い方でも、事前に主治医に相談しておくと安心です。妊娠の時期別に妊婦が温泉に入る際の対応を紹介します。

1. 妊娠初期

妊娠初期でも温泉は入って問題はありません。ただし、この時期は妊娠による体調の変化やつわりによる不調などが出やすい時期です。正常な妊娠経過でも軽い生理痛のような下腹部の痛みや出血をすることもあります。無理に長湯をしない、体調に不安があるときは温泉に入るのを避けるようにしましょう。

2. 妊娠中期(妊娠16週~28週)

中期になると、つわりも落ち着き、体調も安定してきます。流産のリスクも低くなり温泉に入るには最適な時期です。ただし、妊娠中の状態には個人差があり、中期になってもつわりが続いたり、安静が必要だったりする場合もあります。症状がある場合は無理をしないようにしましょう。

3. 妊娠後期(28週~)

妊娠28週以降はおなかが大きくなり足元が見えにくく、体のバランスもとりにくいため、足元が滑りやすい温泉では転倒の恐れもあります。臨月になると破水や早産のリスクも高くなるため、産院から離れた場所への旅行などには注意が必要です。また、血圧が高くなる妊娠高血圧症候群などの妊娠中の病気が増えてくる時期です。必ず主治医の先生に相談をしておきましょう。

妊婦にとっての温泉の効果・効能

お湯が流れる露天風呂
妊娠中は思うように体を動かせず、ストレスもたまりやすい時期。温泉に入ることで、気分転換やストレス解消、冷えの改善なども期待できます。妊婦に嬉しい温泉の効果・効能を紹介します。

1. リラックス効果

温泉に入るとリラックスできるため、気分転換ができます。じんわりと体を温めてくれる温泉は、全身の血流が良くなるため、心身の緊張をほぐしてくれるでしょう。リラックス効果によって気持ちが安定し、ストレス解消にもつながります。

2. コリや痛みの緩和

妊娠中、おなかが重くなることで運動不足になりやすいため、首や肩のコリ、腰痛などが生じやすくなります。温泉につかり全身の緊張がほぐれると、血行が良くなるためコリや痛みの緩和につながるでしょう。

3. 冷え性の改善

温泉に入り温まると血流が良くなるため、冷えの改善も期待できます。妊娠中は体の冷えを防ぎ、温めることが大切ですが、おなかが大きくなるにつれて血流が悪くなる傾向に。温泉は手足の先までしっかり温めることができるため、寝つきが良くなるというメリットもあります。
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妊婦が温泉に入る際の注意点

お腹の赤ちゃんをなでる夫婦
温泉に入ることで体が温まり、血流が良くなってリラックスできるなどのメリットがある一方、お湯の温度や入浴時間といった妊婦ならではの気を付けたいポイントもあります。ここからは、妊娠中に温泉を楽しむ際の注意点を紹介します。

高温のお湯や長風呂は避ける

高温のお湯に入ると、血圧を急上昇させる可能性があります。急激な血圧の変化は、おなかの赤ちゃんに影響を与える場合もあるため避けた方が良いでしょう。
温泉によっては42度以上の高温に設定されていたり、源泉のままで温度調節されていなかったりするところもあります。サウナや水風呂も血圧が急変動しやすいため、妊娠中は控えるようにしてください。
ぬるめのお湯であっても長時間の入浴はNGです。妊娠中は体を流れる血液量が増えるため、長風呂をするといつも以上にのぼせやすい状態。1回の入浴時間は10分間程度にとどめ、長風呂は避けましょう。

空腹時や食後すぐの入浴は避ける

空腹時や食後すぐの入浴は、立ちくらみや気分が悪くなることもあります。食事をした後は1時間程度たってから入浴するとよいでしょう。食事まで時間のある場合は、ゼリーなど消化の良いもので小腹を満たしてから入浴するのがおすすめです。
入浴中は体の水分が減少するため、入浴前に水分補給を忘れずに。コップ1杯程度の水を飲んでから入浴するようにしてください。

転倒に気を付ける

ゆっくりと慎重に行動し、転倒に気を付けましょう。温泉では泉質によっては洗い場が滑りやすく、さらにおなかが大きくて足元が見えづらいため、転倒する可能性が高くなります。転倒によっておなかが刺激されると、トラブルが起こる可能性もあるため十分に気を付けてください。

一人で入浴しない

入浴中はできるだけ一人にならないようにしましょう。妊娠中は急激に体調が変化することもあり、気分が悪くなったり、倒れてしまったりする可能性もゼロではありません。もしもの時に対応できるように、必ず誰かと一緒に入浴すると安心です。

泉質に気を付ける

妊娠中はトラブルを防ぐために、以下の泉質は避けた方が無難です。温泉を選ぶ際には泉質をチェックしましょう。
泉質 特徴
アルカリ性の温泉 肌がつるつるになる美肌効果が期待できるが、その反面ぬるぬるとして滑りやすい。転倒するリスクが高くなる
酸性の温泉 殺菌作用があり、妊娠中の敏感な肌には刺激が強い。なかには湿疹ができる人もいるため避けた方が良い
ラジウム温泉 放射線はママや赤ちゃんに影響しないが、肌への刺激が強い
硫黄泉 硫化水素型は濁り湯のものが多く足元が見えにくくなり、転倒のリスクがある

浴衣を着用する際は帯の種類や結び方を考慮する

妊娠中でもポイントを抑えておけば、浴衣を着用しても問題はありません。あらかじめ旅館に妊娠中であることを伝え、妊婦用の浴衣やサイズが大きめの浴衣を用意してもらいましょう。
浴衣を着用する際には冷えに注意し、夏の冷房や冬の寒さ対策としてインナーを着用するのがおすすめ。帯はおなかに負担のかからないように伸縮性のあるタイプを選び、おなかのふくらみの上(胸の下あたり)で結ぶのがポイントです。帯を締め付けすぎると、おなかが張る、つわりがひどくなるなど体調を崩す可能性もあるため注意してください。
ただし、体調に不安がある場合は、浴衣を控えた方が無難です。万が一に備え、ゆったりしたワンピースなどを用意しておくと安心です。

妊婦も温泉に入って大丈夫。体調に気を付けながら楽しもう

温泉でリラックスする女性
妊娠中でも温泉に入ることは可能です。温泉には妊娠による肩コリや腰痛を緩和し、冷え性の改善が期待できます。さらに心と体をリラックスさせてくれるため、妊娠中の気分転換やストレス解消にも。湯の温度や泉質に注意し、誰かと一緒に入浴するなど、安全面を十分配慮しながら温泉を楽しみましょう。
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