おせちの中身の定番は?具材の種類や込められた意味をお重ごとに解説

おせちの基本。中身や重箱の決まりごと

重箱に詰められたおせち料理
おせちは平安時代から続く日本の伝統のひとつで、今でも残る決まりごとがいくつかあります。まずは、おせちの基本を紹介します。

おせちとは季節の変わり目にふるまう特別な料理

お正月の定番であるおせちですが、元は季節の節目となる「節(せち)」の日に食べるものでした。おせちを漢字で書くと「御節」で、暦の上の節句を指します。平安時代の朝廷では、季節の変わり目を祝う儀式の折に、神様へ供える特別な料理としてふるまわれていました。江戸時代ごろに庶民にも広まり、現在に至ります。
神様を迎えるときに火は使わない、三が日に「縁を切る」につながる包丁は使わないなどの言い伝えから、おせちには基本的に保存がきいて日持ちする料理が詰められます。

料理の種類ごとに詰めるのが習わし

おせちは20~30種類ほどの料理を、「幸せを重ねる」という意味で重箱に詰めるのが習わしです。地域によって違いはあるものの、祝い肴・口取り・焼き物・煮しめ・酢の物に分け、それぞれ重箱の決まった段に詰めます。正式とされる四重段の基本の詰め方は以下の通りです。
初の重(一の重) 祝い肴:祝い場で酒の肴
口取り:始めに食べる酒の肴
二の重 焼き物:魚介類の焼き物
三の重 煮しめ:煮汁がなくなるまで煮詰めた煮物、または筑前煮
与の重 酢の物:酢につけた料理   

おせちの中身①初の重には「祝い肴・口取り」

お皿に盛られた数の子・黒豆・田作り
重箱の一番上の初の重(一の重)には、「祝い肴」が詰められます。関東では「数の子・黒豆・田作り」、関西では「数の子・黒豆・たたきごぼう」の3種類が定番です。それぞれの料理の意味と、同じく初の重に詰められることが多い「口取り」について紹介します。

黒豆

黒豆は「まめに働けるように」「一年元気で働けるように」など、健康や精励の意味を込めておせちに詰めます。黒は邪気を払う色とも言われています。甘く炊くのが特徴です。
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数の子

多くの卵が並んでいる様子から「子孫繁栄」の祈りを込めて詰められる数の子。ニシンの卵を塩漬けもしくは乾燥させたもので、「ニシン=二親」にかけて両親の健康や長寿を願う意味があるとも言われています。

田作り

田作りとはカタクチイワシの小魚を干して飴炊きにしたもの。かつてはイワシを肥料として田畑にまくと豊作になると言われていたことから、五穀豊穣の意味があります。尾頭が付いていることも縁起が良いとされる由縁です。

たたきごぼう

ごぼうは土に深く根を張り力強く成長することから、「延命長寿」の象徴とされてきました。「家族や家業が地に深く根付き繁栄するように」との願いも込められています。さらにごぼうを叩いて開くことから、開運の意味もあるとされています。
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口取り

お皿に盛られたかまぼこ・伊達巻
「祝い肴」とともに初の重に詰められることが多い「口取り」は、見た目が鮮やかで甘みのある料理が多いです。主な種類とそれぞれの意味は以下の通り。
  • 紅白かまぼこ:日の出の象徴。赤には慶び、白には神聖さの意味がある
  • 栗きんとん:財宝のような黄金色にかけ、豊かな年になるようにとの願掛けの意味。栗は「勝ち栗」として勝負事の験担ぎにも
  • 伊達巻:巻物のような見た目から知識が豊富になるようにと願いが込められる

おせちの中身②二の重には「焼き肴」

重箱の二段目には「焼き肴」を中心に詰めるのが一般的です。特に縁起物とされている鯛や鰤などの海の幸が選ばれます。定番の具材の意味を紹介します。

鯛(タイ)

お祝い事でふるまわれる鯛の姿焼き
鯛(タイ)は赤色の美しい見た目が祝い事にぴったりで、「めでたい」の語呂合わせでも縁起が良いとされる魚です。福の神として信仰される七福神の恵比寿様の持ち物でもあります。おせちでは焼いた切り身・姿焼きを用意することが多いです。

鰤(ブリ)

ブリの照り焼き
鰤(ブリ)は成長とともに名前が変化するので、「出世魚」と呼ばれています。立身出世を願う人は、年の初めに食べると縁起を担げるかもしれません。近年ではよく甘辛い照り焼きにしてふるまわれます。

海老(エビ)

おせちに入った海老
長いヒゲや腰が曲がっているように見えることから、長寿の意味でおせちに詰められる海老。目が飛び出している様子から「めでたい」、脱皮を繰り返し「生まれ変わる」イメージから成長や発展の象徴ともされています。うま煮などにされ、艶やかな見た目も祝い事に向いています。

貝類

蒸したアワビ
おせちに詰める貝類としては蛤(ハマグリ)やアワビが代表的で、蒸煮にされることが多いです。
蛤は、左右の貝がぴったり合うものは1つの組み合わせしかないことから、夫婦円満・良縁を象徴する縁起物とされています。アワビは15〜20年ほど生きる長生きの貝で、不老長寿の象徴となっています。貴重な食材なので、昔から神様への供物とされてきました。

おせちの中身③三の重には「煮しめ」または「筑前煮」

煮しめが詰められた重箱
三の重には、山の幸を使った「煮しめ」や「筑前煮」を詰めるのが基本です。筑前煮は、れんこんや里芋などの根菜と鶏肉を煮込んだ料理です。ここでは、煮しめの具材として一般的な里芋やれんこん・くわい・こんにゃくを紹介します。

里芋

親芋に小芋・孫芋がたくさん付いていることから子孫繁栄の意味がある里芋。特に「八つ頭」と呼ばれる品種は、末広りの八にかけ縁起の良い食べ物とされています。丸い形が家庭円満をイメージさせるので、調理する際にあえて面取りをしない地域もあります。

れんこん

れんこんは穴が空いていて向こう側が見えることから、「将来の見通しが良くなるように」との願いを込めておせちに詰めます。種が多いので子孫繁栄と捉えることもあります。また、蓮の花は極楽浄土に咲く穢れのない神聖な花とされていて、神様の供物とされることが多くおせちにもぴったりです。

くわい

お皿に盛られたくわいの煮物
くわいは冬野菜のひとつで、ピンポン球のような塊茎から大きな芽が出ることから立身出世の象徴とされています。「芽が出る」と「めでたい」の語呂合わせも縁起が良く、祝い事で重宝される理由のひとつ。さらに不老長寿の願いを込め、万年生きるとされる亀に見立て塊茎の皮を剥いたあと、六角形または八角形に形作られることもあります。

こんにゃく

盛られた手綱こんにゃく
おせちで用いられる真ん中に切れ込みを入れてくるくるとねじったものは「手綱こんにゃく」と呼ばれ、手綱を締めるように心を引き締め、自分自身を律するという意味が込められています。結び目のようにも見えることから、良縁成就の縁起物ともされています。

おせちの中身④与の重には「酢の物」

四段目の与の重は、酢の物が中心となります。お祝い事の定番である紅白なます・酢れんこんの意味を紹介します。

紅白なます

器に盛られた紅白なます
紅白なますとは根菜である人参と大根で作った酢の物のことで、「しっかり根を張る」「家の土台を強くする」という願掛けの意味があります。紅白の色合いもめでたく、のし袋に使われる水引きのようで祝い事で重宝されています。かつては生魚も使われていたので紅白なますと呼びますが、現在では魚を加えるかは地域によって異なるようです。

酢れんこん(酢蓮)

白い器に盛った酢れんこん
煮しめと同じく「将来の見通しが良くなるように」との願いが込められる酢れんこん。酢につけることで、れんこんが変色しにくくなるという効果もあります。

おせちの中身をきれいに見せるお重詰めのポイント

おせち料理が詰められた重箱
ここではおせち料理をよりきれいに見せるために、重箱の仕切り方や詰め方のポイントを紹介します。

料理に合わせて仕切り方を決める

重箱の仕切り方はいくつかあり、料理の数などによって段ごとに詰めやすい仕切り方を選んで構いません。代表的な仕切り方に田の字型、市松型、末広型があります。
  • 田の字型:重箱を十字に仕切る
  • 市松型:縦横3列ずつで区切る
  • 末広型:中央に1品盛り、周りを扇状に囲む

奥からきっちり詰める

形が崩れにくい食材を、重箱の奥から隙間なく詰めていくときれいに盛り付けられます。汁気の多い料理や崩れやすいものは、カップやバランなどを使って工夫しましょう。似た色の料理は離す、飾り菜を使うなどで、より華やかになります。

お正月の定番、お餅も簡単アレンジで美味しく

銘々皿にのったずんだ餅
お正月といえば、お餅も定番。お雑煮や醤油をつけるなど、いつもの食べ方に飽きてしまった時は、焼いた餅に薬味を加えた納豆と混ぜて食べる「納豆もち」や、茹でた枝豆をすり潰したずんだ餡を乗せて食べる「ずんだ餅」もおすすめです。どちらも簡単に作れ、余ったお餅もペロリと食べられるので、ぜひ挑戦してみましょう。

おせちの中身には人々の願いが込められている

重箱に盛り付けられたおせち料理と南天
かつては季節ごと、今ではお正月の習慣となっているおせち。祝い肴・焼き肴など数々の料理の1つ1つに、健康や将来への願いが込められています。ぜひその意味も噛み締めながら味わってみてはいかがでしょうか。
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