有機野菜とは?無農薬野菜やオーガニック野菜との違い、見分け方も解説

有機野菜とは?オーガニック・無農薬との違い

畑から野菜を収穫する人
農薬や化学肥料の使用を限りなく抑え、自然環境に配慮した野菜を有機野菜といいます。まずは有機野菜の定義や、他の野菜との違いを押さえておきましょう。

有機野菜の定義

有機野菜とは、化学合成された無機質肥料(化学肥料)や農薬を極力使わず、動植物由来の有機肥料を用いて栽培された野菜のこと。人間だけではなく、自然環境にも配慮した方法で生産されているのが特徴です。
厳密には、農林水産省が定める有機JAS規格に適合し、有機JASマークが付いた野菜を指します。有機JASマークがない場合、「有機」とは表示できない決まりとなっています。
有機JASの代表的な認定基準は以下の3つです。
①たい肥等で土作りを行い、種まきまたは植え付けの前2年以上、禁止された農薬や化学肥料を使用しない
②栽培中も禁止された農薬、化学肥料は使用しない
③遺伝子組換え技術を使用しない
「禁止された農薬、化学肥料は使用しない」とされており、やむを得ない場合に限って約30種類の農薬の使用が認められています。そのため、有機野菜は必ずしも無農薬ではありません。

オーガニック野菜との違い

オーガニック野菜は、有機野菜と同義と捉えて問題ありません。オーガニックは英語で「organic=有機的」という意味です。有機野菜同様、有機JASマークが付いたものだけをオーガニック野菜と表記できます。

無農薬野菜との違い

無農薬野菜は、その名の通り一切農薬を使用せず栽培された野菜のことです。ただし、現在では「無農薬」や「減農薬」といった表記は禁止されています。生産過程で農薬を使用していなくとも、土に農薬が残留していたり、周囲で使用された農薬が付着していたりと問題が多かったためです。
その代わりに、現在では農林水産省が定める農薬や化学肥料の使用基準を満たせば、「特別栽培農産物」と表記できるようになっています。

有機野菜はどう育てる?野菜の3つの栽培方法

スコップで畑を耕す男性
法律やガイドラインから見ると、野菜の栽培方法は大きく分けて3種類あります。それぞれの内容をチェックしておくと、野菜選びの参考として役立ちます。

①慣行栽培

慣行栽培は、必要な分の農薬や化学肥料を用いたもっとも一般的な野菜の栽培方法です。「慣行」とは古くからの習慣という意味で、日本では半数以上、世界でも多くの生産者が採用している農法です。
慣行栽培の明確な定義はありませんが、露地栽培やハウス栽培が主な例といえるでしょう。適量の農薬や肥料を使用することで、安定した野菜の収穫が可能になります。

②有機栽培

有機栽培とは、農薬や化学肥料、遺伝子組換え技術を使用せず、環境への負荷をできる限り抑えた栽培方法です。有機野菜やオーガニック野菜は、この有機栽培によってつくられています。生産方法や品質などに多くのルールがあり、JAS規格による検査に合格すると有機JASマークが付けられます。

③特別栽培

特別栽培とは、農薬や化学肥料の使用量に制限のある栽培方法です。過去に使われていた「無農薬」や「減農薬」野菜が該当します。
特別栽培農産物と表記するには、生産地域での慣行的な農薬や肥料の使用状況と比べ、節減対象農薬の使用回数が50%以下および化学肥料の窒素成分量が50%以下で栽培されていることが条件です。いずれか一方だけの条件を満たしても、「特別栽培農産物」とは認められません。農薬・化学肥料の低減状況をパッケージなどに表示するか、QRコードからインターネットで確認できるようにしなければなりません。

知っておきたい有機野菜のメリット・デメリット

農薬・化学肥料の少ない有機野菜は、さまざまなリスクが低減されるのが大きなメリットです。一方で、まったくデメリットがないわけではありません。メリット、デメリットを理解し、買い物上手になりましょう。

メリット①信頼性が高い

笑顔でサラダを食べる女性
有機JASマークを付けることが認められ、有機野菜と表記できるのは、農林水産省が定める有機JAS規格を満たしている証です。農薬は日本では厳しく管理されていて、人体に影響はないといわれる基準内で使用されているものの、生涯にわたり影響が完全にないとは言い切れません。有機野菜なら農薬や化学肥料が一般的な農法より少なく、より健康リスクを減らしたい人にとっては安心感があります。

メリット②自然環境にも優しい

有機栽培は、化学物質に頼らず、多様な生態系による食物連鎖など自然本来の力を活かす農法です。農薬や化学肥料を極力抑えることで、土壌環境や生態系を守れます。生物多様性の保全や地球温暖化防止の効果も期待されていて、SDGsが注目されている現代のニーズにもぴったりと合っています。

メリット③品質が高い

自然の力を活かし野菜本来の成長に沿った栽培方法は、味や栄養面にも良い影響があるといわれています。安全面や品質の高さから消費者の関心やニーズが高まっている一方、流通は少ないので、生産者から見ると高い付加価値が付けられるところもメリットといえるでしょう。有機野菜だけを使用したレストランなど、新たなビジネスも生まれています。

デメリット①供給が安定しない

たくさんの野菜がならんだ食料品店
有機野菜は農薬や化学肥料を使用しない代わりに、害虫駆除などの手間がかかるうえ、慣行栽培と比べると野菜の生育がゆっくりなので生産量が限られます。有機栽培をしている農家や、有機食品を取り扱う流通・加工業者の数も多くありません。需要が高まる一方で生産が追いついておらず、安定した供給は難しいのが現状です。

デメリット②高価になりやすい

生産に手間がかかることに加え、厳格な基準を満たす必要があるので、有機栽培は生産コストが高くなります。その分、慣行栽培と比べるとどうしても販売価格が高くなる傾向があります。生産の労力や品質から考えると決して高い金額とはいえませんが、一般的な野菜と同じ売り場に並んでいると、手を出すのを躊躇してしまう場面もあるでしょう。

デメリット③見た目にばらつきがある

野菜の自然な成長を重視しているため、有機野菜は形や色、サイズにはばらつきが出ます。虫食いがあることも珍しくありません。品質に問題があるわけではありませんが、日本では統一感のある野菜が多く流通しているので、不揃いな野菜は見慣れない人も多いでしょう。

慣行栽培野菜の安全性は大丈夫?

ビニールハウスの前で野菜を運ぶ男性
日本では国や自治体による厳しい安全基準をクリアした野菜しか流通できない仕組みです。「農薬取締法」により、使用できる農薬や肥料は農林水産省が認可したもののみに限られています。さらに残留農薬の量が無毒性量(有害な影響がないとされる最大量)の1/100の野菜しか出荷が認められません。
他にも「食品衛生法」に基づき、国や自治体がランダムに残留農薬の値をチェックしています。 慣行栽培といえども、日本で流通している野菜の安全性は高いと考えられます。
こだわりの栽培方法で丁寧につくられた野菜を探しているなら、みやぎ生協の「めぐみ野」がおすすめです。
「めぐみ野」は、農薬や化学肥料の使用をできるだけ抑え、生産者と消費者をつなぐ“顔の見える産直”にこだわった取り組みです。栽培方法のルールや履歴を公開するなど、安全性と透明性を大切にしており、家族みんなで安心して食べられる野菜がそろっています。地域に根ざした生協ならではの取り組みとして、多くの組合員から長年にわたり支持されている信頼のブランドですので、ぜひチェックしてみてください。

有機野菜とは、人と地球に優しい野菜

ガラスの地球儀とカラフルな野菜
農薬や化学肥料の使用を抑え、農林水産省が定める厳しい基準をクリアし、人体にも地球環境にも優しい製法でつくられた野菜が有機野菜です。一般的な野菜に比べると高価になりやすいなどのデメリットはありますが、その分の価値を感じられる品質・味を備えています。お買い物の際には、ぜひ一度手に取ってみてください。
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